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認知症でつながり、認知症とつながる街へ【神奈川県横浜市・あざみ野商店会協同組合】

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「やさしい街ってこんな街」イベントを楽しみながら皆で考える

 神奈川県横浜市青葉区のあざみ野では、現在、認知症に関する啓発・支援活動「認知症の人にやさしい街プロジェクト」が進められている。2020年9月にあざみ野商店会の有志たちが市の福祉施設とともに開始したこのプロジェクトは、地元の市民、事業者、医療機関、大学、サッカークラブなどを巻き込み、この一年の間に急速に活動の輪を広げている。

 きっかけは、昨年7月、あざみ野商店会協同組合代表理事の黒沼勤さんのもとに、商店街で不動産業(嶮山開発株式会社)をご主人と営む根岸里香さんが訪れたことだった。医療ソーシャルワーカーとしての経歴なども持つ根岸さんは地域活動に積極的で、「あざみ野を、誰もが暮らしやすい“やさしい街”にしたい。そのために何ができるか、一緒に考えてほしい」との想いを伝えた。それを受け、商店会有志たちは「商店会としてやれるだけのことをやってみよう」と、9月に同区の地域ケアプラザ(※)を交えて意見交換を行う。すると、地域における認知症患者の増加の事実と彼らへのサポートの必要性、同じ市内にある六角橋商店街が数年前から認知症に関わる活動を実践していることがわかった。「それならば、六角橋の取組みをパクらせてもらおう(笑)」(黒沼さん)と、あざみ野商店会は即座に六角橋商店街をロールモデルに、“認知症の人”に対して“やさしい街”にするプロジェクトに乗り出すこととなる。

 それから、プロジェクトの本格的始動に向けた準備が着々と進められた。議論を重ねつつ、近隣の桐蔭横浜大学に協力を仰ぎ、六角橋商店街を視察しながら、商店会は自らの活動の在り方を検討していった。結果、商店会の枠を超えてより広い地域、分野からの参加を促すため、「やさしい街あざみ野実行委員会」を設立することになる。実行委員会は3月から毎月開催。その第1回目の実行委員会で、「9月の世界アルツハイマー月間を、このプロジェクトの存在を公に示すイベント月間にしよう」と決定したことで、プロジェクトはより具体的な段階へと移っていった。6月からは桐蔭横浜大学の学生たちによる店主及び地域住民の認知症に関する意識調査が、7月からは、地域におけるプロジェクトの周知を進める「キャンドルホルダーワークショップ」の実施がスタート。ネットワークの輪は急速に広がり、プロジェクトの参加者数は膨らんでいった。

 この間、商店会は地域を支える組織団体としてプロジェクトをしっかりとサポートするために、他組織との連携体制を強化していった。7月には桐蔭横浜大学と包括連携協定を締結し、8月にはサッカークラブ「東急Sレイエス」と連携・協力協定を、六角橋商店街連合会と姉妹商店街協定を結んだ。

「キャンドルホルダーワークショップ」 「薬、食事、運動の相談会」 の様子

 そして迎えた9月には、5日のキックオフイベントに始まり、「キャンドルホルダーワークショップ」、「手こね石鹸づくり」、「認知症サポーター養成講座」(店主や従業員が認知症の人が来店した際の対応などを学ぶ講座)、「薬、食事、運動の相談会」などが次々に行われる。そして26日、これら数々の催しを締めくくる、フォーラム形式のクロージングイベントがリモート開催された。

 クロージングイベントでは、桐蔭横浜大学の学生によるアンケート調査の結果報告、同大学学長・教授溝上慎一さんの基調講演、実行委員会によるこれまでのプロジェクトの活動報告などが行われた。「認知症でつながり、認知症とつながる街あざみ野〜商福学医地連携のまちづくり〜」と題するパネルディスカッションも実施される。パネリストは、前出の根岸さん(発起人・実行委員長)黒沼さん(商店会・副実行委員長)、溝上さん(桐蔭横浜大学学長)に加え、六角橋商店街連合会会長の石原孝一さん、六角橋地域ケアプラザ・地域交流コーディネーターの原島隆行さん。異なるバックグラウンドを持つ5人は、まさに、“認知症を介して互いがつながり、認知症の人々とつながっていく”人々だ。このプロジェクトにおいても異なる役割を担っている5人が、そのそれぞれの経験と知見、想いから、“認知症と街づくり”について議論を交わした。

クロージングイベントでこれまでの活動を振り返り、今後の糧に

 7月から計16回も実施されているワークショップで作成された500個のキャンドルホルダーは、現在、プロジェクトに賛同する施設や店舗約40カ所に展示され、街に明るい光を放っている。今後、このホルダーの数もどんどん増えていくことだろう。コロナの影響で一旦延期となった「多世代交流サッカーイベント」も、12月に行われる予定だ。そして商店会は、100の加盟店のうち50%以上の店主や従業員が認知症サポーターとなるよう、これからさらに講習会の開催に力を入れる。「こうして皆でつながって力を合わせながら、私たちの街を住みよい、人にやさしい街にしていければ」と黒沼さん。あざみ野にあたたかい未来が待っている。




(※)地域ケアプラザ:高齢者、子ども、障害のある人など誰もが地域で安心して暮らせるよう、身近な福祉・保健の拠点としてさまざまな取組を行っている、横浜市独自の施設。

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