青森県五所川原市のJR津軽五所川原駅近くの街なかで、5月21日、市内の幼稚園(学校法人東北カトリック学園 聖心幼稚園)による親子レクリエーションが開催された。新型コロナウイルスの影響で中止となった全園児参加の遠足の代わりとして企画されたこのイベントで、園児と保護者50人ほどが店主たちとの交流を楽しんだ。
この幼稚園では例年、親子レクリエーションとして、お弁当をもってバスで小旅行する「親子遠足」を行っている。しかし、それが昨年中止となり、今年も長引くコロナ禍の影響で例年通りの実施は困難という状況になっていた。「今年も何もできないで終わるのは、子どもたちがあまりにも可哀そう。何とかしなければ」と思った園長の川口奈津子さんは、近所の商店街のお店に相談。結果、3つの店舗と津軽の文化を伝える施設「立佞武多(たちねぷた)の館」の協力を得て、「商店街謎解きツアー」を実施することになった。
その3つの協力店舗とは、「岩谷精肉店」、「みかみ商事」(食料雑貨小売業)と「又上佐々木呉服店」。「岩谷さんは給食でお世話になっているお肉屋さんで、みかみ商事さんは園児たちがクッキングの体験活動の時に材料の買い物に行くお店。佐々木さんは、息子さんたちが卒園生なんです」(川口さん)。実は、川口さんは以前から、こうした園にゆかりのある地域の店のことを子どもたちによく知ってもらいたいと思っていた。つまり、今回の「商店街謎解きツアー」は遠足の代替行事ではあったものの、“とてもやってみたい興味ある企画”だったという。
当日園児と保護者たちは、“密”を避けるため各家族別々に店を巡った。店主に合言葉(店名)を伝え、各店舗が事前に準備したその店ならではの一品と文字が書かれたカードを1枚ずつ集めていく。そのカードを園に戻ってから組み合わせてみると「おたからげっと」という言葉が完成。各店を巡ることで、うれしい「お宝」が集まったというわけだ。ちなみに岩谷精肉店はコロッケ、みかみ商事はお菓子袋、又上佐々木呉服店では鬼滅の刃イラスト入りタオル、立佞武多の館はソフトクリーム券を“お宝”として用意した。
ツアーは、子どもたちが喜んだのはもちろんのこと、保護者たちからの反響も大きく、「今までスーパーでしか買い物をしたことがなかった。地元のお店でこんなに楽しく買い物ができるとは知らなかった」、「お店の方が皆とても親切でうれしかった」、「地域のつながりが感じられてよかった」などという感想が次々に寄せられた。川口さんは、「このご時世に、園児と保護者の方々に思い出に残るレクリエーションの時間を提供できて本当によかった。このイベントが地域の交流が進むきっかけになれば。そして、コロナで大変な思いをしている地域のお店が少しでも元気になればと願っています」と語った。
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