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コロナ禍でも、お店とお客さんの距離がグッと縮まる「ポスター展」【埼玉県飯能市・飯能市商店街連盟】

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街なか3か所に掲示された50枚のポスター。各ポスターは一枚ずつ各参加店にも展示され、来街者の回遊を誘導した

 2月2日から28日まで埼玉県飯能市の街なかで開催された、飯能市商店街連盟主催の「飯能がんばる商店街ポスター展」。展示されたのは、店主たちのポスター50点だった。斬新なデザインとキャッチコピーで、飯能駅周辺の3つの商店街(飯能銀座商店街、飯能大通り商店街、飯能中央通り商店街)の店主の人柄や店の雰囲気が生き生きと表されたそのポスターの中から、来街者の投票によって選ばれた“ベスト3”が、先日発表された。

 同ポスター展を発案し事務局を担当した岡本恒介さん(地元特産品のアンテナショップ「KOFKA」を経営)は、開催の理由をこう語る。「昨年の春からコロナ禍で飲食店の営業が自粛となりましたが、中にはそれほど困窮していない店もあった。その理由を考えたときに、そういう店には一定数の常連さんがついていることに気づいたんです。常連さんは店が困っていれば助けようとします。例えば、夜営業できなければ昼にランチで行こうとか、テイクアウトを始めればそれを利用しようとか。そこで、商店街のお店に一人でも多くの常連さんを増やす手立てを考えようとなったんです」

 しかしコロナ禍の今、商店街が店のことを知ってもらう集客イベントを開催することはできない。そこで、“密”を生まずに人々に店の魅力に気付いてもらうための仕掛けとして、店主一人ひとりの人柄や魅力が存分に伝わるようなポスターをつくって各店舗に貼り、来街者にそれを見て回ってもらうイベントを開催することにした。

 このアイデアが生み出された背景には、飯能の市街地にオフィスを構えるデザイナーたちの存在がある。2017年4月、空き店舗を活用し飯能銀座商店街にシェアスペース「Bookmark(ブックマーク)」がつくられ、以来、飯能ではBookmarkを拠点に活動するデザイナーが商店街の店主と一緒に街を盛り上げる取組みを企画・実施している。「飯能がんばる商店街ポスター展」も、このデザイナーたちの協力なしには実現することはなかったという。

 今回のポスター展には、3つの商店街全150店舗のうち50店舗が参加した。その参加店舗に、市内在住で商店街のことを普段からよく知るカメラマンとデザイナー各5人が送り込まれた。カメラマンとデザイナーは2人一組のチームで各店を訪れて様子を観察、店の雰囲気と店主の人となりが最大限伝わるような構図、デザイン、キャッチコピーを練り上げていった。

店先に設置された投票箱

 こうしてできあがったポスターは、どれも、店や店主の特徴が“言い得て妙”とばかりに表された傑作ばかりだ。これら50点のポスターが一挙に観賞できる大きな掲示板が街なかの3か所に設置され、各参加店舗にはそれぞれのポスターと投票用紙、投票箱が置かれて、来街者はお気に入りの作品を投票した。加えて、市の公式webサイトから入れる専用ページも用意し、全ての作品をいつでも見られるように公開した。
 今回集まった票は全部で2000もあったという。そのうち抽選で115人に参加店舗で利用できる商品券が送られた。

 その投票で栄えある第1位に輝いたのは、鮮魚店の「滝長」(207票獲得)だ。店長夫婦が揃って店の前に立ち、「鮮度が命!」というコピーに合わせて、自身の体で漢字の“命”という文字を表すポーズをとっている微笑ましい作品である。制作チームは、「買い物に行くといつも感じられる、お二人の仲のよさとお店の温かい雰囲気を表現しようと思いました。新鮮な魚介類、笑顔、元気を『鮮度が命』に詰め込みました」とコメントしている。

 第2位は、玩具店「丸見堂」(173票)。店主が戦隊ヒーローの人形を買いに来た男の子を前にしている作品で、「将来、地球を救うのはこの子かもしれない」という文章が添えられている。「店主のお名前や優しい人柄と『おもちゃ屋さん』という仕事の役割を伝えられたらと思い、高揚感あふれる店内を舞台に、子どもの未来や夢を想像できるようなシーンを考えました」(制作チーム)とのこと。集計作業では、筆跡から多くの子どもたちがこの店に投票したことが判明、“まちのおもちゃ屋さん”として、いかに地域から慕われているかがが窺われたという。 

 第3位は、洋菓子店の「夢彩菓すずき」(139票)。「お菓子は、力だっ!!」のコピーとともにホイップクリームをかき混ぜる店主の腕の力こぶと笑顔が印象的な作品だ。制作チームは、「あまり店頭に出ない店主の人柄をポスターで伝えようと思い、趣味をリサーチしたところ『筋トレ』というキーワードを発見。かわいらしいお菓子とのギャップを表現しました」とのコメントを残した。

 ポスター展を実施したことで、参加店舗からは「お客さんがポスターを見て会いに来てくれた」「お客さんとの会話がすごく増えた」という声が上がり、一方、来街者からも「店主さんがどんな人だか分かって楽しい」「これからは子どもだけでも安心して買い物に行かせられる」などという言葉が寄せられているという。「ポスター展で、お店とお客さんの距離がグッと縮まったと感じています。これをきっかけにお店のファンが増えて、コロナ禍の難しい時期を乗り越える原動力になれば」と、岡本さん。次は市全体でポスター展を実施して、少し離れた地域にある店にもスポットライトを当ててみたいと考えているそうだ。

※「 飯能がんばる商店街ポスター展 」の取組みの様子はこちらへ ⇒ Facebook

※全ポスターをご覧になりたい方はこちらへ ⇒専用ページ

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