駅に置かれている、ピンク色の表紙のマップ。手に取って開いてみると、「おうち時間になごみの一輪はいかがですか?移り変わる季節をお花で感じてくださいね」「店内でも安心してお食事いただけます。テイクアウトもお電話いただければおつくりしてお待ちしています」「入口外でお会計とパンのお渡しをしています、除菌用のアルコールもご利用ください」と、中から店主たちの声が次々と溢れ出す。
東京都杉並区のJR西荻窪駅北口近くの商店街「西荻北銀座商友会」は昨年末、コロナ禍にがんばって営業を続けている加盟店の近況報告を兼ねて商店街のマップを発行した。その名もズバリ「プラタナス並木の西荻北銀座商友会 コロナに負けない!MAP」は、現在、商店街や駅構内で配布されている。
マップは、A2の大判サイズ。中面には、業種で色分けした58の店舗の配置図が示され、各店舗の外観と店主や店員が似顔絵入りで紹介されている。「コロナ禍のこんな時期でも、安全に楽しく近所の商店街に来て欲しい」という願いを込め、コロナへの対応状況など店主からのメッセージも記されている。似顔絵は、西荻窪在住のイラストレーター鈴木勇介さんによるもの。時節柄マスク着用で店主の顔を見せる機会が少なくなったことを踏まえ、「せめてイラストでだけでも顔出しでお客様に挨拶ができれば」と、店主たちのマスクなしの生き生きした表情が描かれている。
外面には、地域の今昔マップを掲載。商店街の最年長の「理容スター」店主が語ったエピソードが、地域や商店街の歴史としてまとめられた。老舗のクリーニング店「カラキヤ」が提供した貴重な写真が、西荻窪の“在りし日の様子”をリアルに映し出し、街の変遷も楽しめるお買い物マップが出来上がった。
西荻北銀座商友会は常日頃から、『やさしい街つくり』『人とのふれあい』『安心安全の街』を心がけている。その心がけが、コロナ禍にお客様の安全を守る店主の配慮が盛り込まれた優しいタッチのこのマップから十分に伝わるのではないかと、会長の樋代雅次さんは感じているという。「世界中の誰にとっても大変な事態となりました。西荻窪の店主たちもじっと耐え忍んでいます。でも、この嵐もいつかは過ぎ、『あの頃は大変だったね』と思い出すことになると信じています。コロナがもう少し落ち着いたら、ぜひともこの地図を片手に西荻窪の街の散策を楽しんでいただきたい。マスクでのやりとりが当たり前の風景となりましたが、マスクの下にはいつもと変わらぬ笑顔で私たちはお客様をお迎えしております!」と、樋代さんはマップを通じて呼び掛けている。
※「コロナに負けない!MAP」は、こちらからダウンロードできます。⇒https://nishiogi-kitaginza.net/index.html
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