宮城県栗原市の六日町通り商店街が、7月から11月までの第3・4土曜日に、通りの一角にキッチンカーを出現させる「もぐもぐサタデー」を開催している。これは、例年6月~8月に開かれる「くりこま夜市」が、コロナ禍で中止となったことを受け、代わりに企画されたもの。通りにキッチンカーを設置することで、普段とちょっと違う雰囲気を楽しみに街に出て来てもらおうとの狙いだ。
「集客の要であった夜市の中止や外出自粛も重なったことで、営業を再開しても以前のような人出はありません。そんな状況の中でしたが、5月に商店街に新しいお店がオープンしたところ、休日の賑わいが少し戻ったんです。そこで、この賑わいを継続させるため、夜市に代わるイベントをみんなでやろうとなりました。」そう話すのは、商店会の若手で組織する未来事業部のメンバー齋藤正明さんだ。
実現に向けて大事にしたのは次の3つ。まずは、手間がかからず感染対策の安全を確保できること、そして、商店街での滞在時間を延ばすこと、さらには、夜市の魅力であった“この街にはない商品提供の店との出会い”を再現することだ。
そこで、夜市にも出店のあったキッチンカーに着目。これであれば密にならない状態で集客ができ、電源供給やテントなどの準備も不要だ。訪れた人が気軽に購入できるよう、たこ焼きや唐揚げなどの軽食を扱うキッチンカーの店に直接声掛けを行った。
こうして7月からスタートした「もぐもぐサタデー」は売り切れの日も出るほどの人気ぶりで、この街にはない味が楽しめると地元の人々に喜ばれている。キッチンカーが姿を現すと、おこづかいを握りしめて駆け寄る小学生の姿や、クレープを初めてほおばり笑顔になる高齢者の姿などが見られ、夜市の賑わいを彷彿とさせている。久々に人通りが増えた商店街の様子に、「これを自分たちの賑わいにつなげよう」と、店主達の士気も上がる。
11月は開催日とキッチンカーの台数を増やして実施する予定で、同時に六日町通り商店街でのスタンプラリーの開催も企画している。約40の参加店舗が用意したそれぞれ異なる絵柄のスタンプをすべて集めると、完走証と記念のスタンプがもらえる。
「地元の方ほど地元の店を利用したことがないという話をよく耳にします。遠出をするのをためらう方もいる今、地元に目を向けてもらい、商店街を用がなくても歩くようなもっと身近な存在になってくれればと願っています。」と齋藤さんは笑顔を見せる。
※「もぐもぐサタデー」Facebook