静岡県富士宮市の富士宮商店街連盟がこのほど、地元新聞に連載されていた小売店の紹介をまとめ、新聞サイズの情報誌「がんばる商店街」を発行した。
全国的に新型コロナウイルスの感染拡大が続いていたこの4月、市内の商店街も予想以上の打撃を受けていた。協力金等の休業補償により飲食店や宿泊施設では営業自粛が増加したが、商店街の小売店は、「こんな状況だからこそお客様が必要なときに役に立ちたい」という思いから、多くがお店を開け続けていたという。
そこで、コロナ禍でも「休まずに営業を続けている小売店を応援しよう!」と地元の岳南朝日新聞で始まったのが、この連載コーナー「ちょっと寄ってみて!がんばる商店街」。富士宮商店街連盟理事長の増田恭子さんが、各店舗にインタビューし、一つ一つ情報を集めたもので、4月25日から7月5日までの間、週2回掲載され、これまでに95店舗を取り上げた。
「2013年の富士山世界遺産登録以来の観光誘客による成長も急降下に転じてしまい、街には自粛ムードが蔓延していましたが、個店の魅力は輝きを失っていませんでした。インタビューを繰り返すうちに、“個店のエネルギー”を浴び、“コロナに負けていないひと・まち”があることを気づかせてくれました。」と、増田さんは取材時の様子を語る。
完成した情報誌「がんばる商店街」は、手に取りやすい岳南朝日新聞同様のタブロイド判サイズ。ファッション、食料品、美容、薬局、インテリア、等カテゴリーを分け、AとBの2種類(各8ページ)を発行した。
大規模店にはない商店街のお店ならではのきめ細やかなサービスや心づかい、例えば「服を脱いでいただく面倒はなく、楽な姿勢で施術を受けられます」(鍼灸院)、「とくにSサイズのご要望に応えられる品揃えをしています」(婦人靴店)、「役目を終えた『はんこ』を浅間神社で供養するので捨てずにお持ちください」(印鑑専門店)の他、商店街を知り尽くした増田さんならではの目線も加えられている。
「創業100年を超える薬局では、84歳の管理薬剤師が調合するオリジナルの風邪薬、咳止めなどが人気」、「実は大正時代に映画館として創業し、昭和初期の大宮大火を経て再出発で化粧品店となった歴史がある」等、この地ならではのトリビア的な情報も満載だ。
「さらに、富士宮市では、現在、地域の消費活動を応援するプレミアム付商品券『元気わく湧くーポン』が発行され、10月末までご利用できます。とかく失われそうな“ 思いやりや優しさ ”を感じていただくことが街の商店の役目です。このコロナ禍では、一番身近な富士宮の街にぜひお出かけください」と増田さん。
情報誌「がんばる商店街」は、現在、商店街の各店舗や公共機関で入手できる。