新潟県上越市の高田本町商店街では、現在、街が花であふれるイベント「たかだ花ロードウイーク」が開催されている。これは、高田本町3〜5丁目の商店街のおかみさんたちが、20年以上にもわたり毎年秋に実施しているイベントだ。今年は、“新型コロナウイルス感染症拡大防止のために頑張っていらっしゃる皆様に感謝の気持ちを込めて”と銘打っての開催となった。
おかみさんたちが結集し商店街の活動を始めたのは、1998年(平成10年)のこと。「この街特有の碁盤状の街路を舞台に歩いて楽しいイベントを実施することで、市内外に“城下町高田”をPRし、街を元気にしたい」という考えから実行委員会をつくり、約1年間の議論を経て、翌年10月に「第1回 城下町・高田花ロード」を開催した。「花ロード」は、花いっぱいの城下町の創出を目指し、花をモチーフにした作品を公募で集めて商店街の店先や通りに飾るというイベントだ。
その企画・運営に携わることにより、それまで陰で夫を支える日常を送ってきたおかみさんたちは、表舞台へと踊り出る。そして、商店街内で横のつながりを強固に築いていくと同時に、出展者をはじめとするイベントの協力者やイベントを見に来る人々など、商店街の外の世界とも多角的につながっていった。以来、「花ロード」は毎年継続して実施され、商店街の秋の風物詩として定着した。
「花ロード」は、昨年の第20回を節目にリニューアルされる。開催月が9月に早まり、期間はそれまでの3日間から10日間へと大幅に拡大、名称も「たかた花ロードウィーク」と改められた。今年も、9月19日(土)から27日(日)まで開催されている。コロナの影響で当初はその開催が危ぶまれたものの、「コロナ禍でがんばっている人たちに作品を通してエールを送りたい」「作品を展示するだけでもやりたい」という強い声がメンバーから上がり、開催を決定したという。花の作品の展示数は例年より少なめの56点であるが、22の花咲く庭(店舗や個人宅の庭)を公開するオープンガーデン、ストリートピアノ(19日限定)のイベントも同時に実施され、街は華やかな雰囲気に包まれている。
実行委員長の町田理恵さんによると、今回の作品のなかで最も多くの反響を呼んでいるのが、「花の俳句」の展示だという。「花の俳句」は、花の固有名詞を入れることを条件に7~8月に一般公募で集められた120の俳句ひとつひとつに、新潟日報カルチャースクールの絵手紙教室の生徒たちが絵と文字を入れて色紙にしたもの。「味のある俳句と文字、きれいに彩られた温かみのある花の絵を見ていると、優しい気持ちになります。こうした作品をゆっくりご覧いただきながら、コロナ禍で緊張した心を少しでもほぐしていただければ」と町田さん。
おかみさんたちの心がこもった花いっぱいの手づくりイベントが、街を癒しの空間へと変えている。
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