新型コロナウイルス感染防止のために有効とされている「マスク」。 そのマスク不足の解消に一役買おうと 、岡山市の奉還町商店街振興組合青年部の有志たちは県内の寺院と協力、奉納品の布を活用してマスクを作製し、商店街の利用客への配布に乗り出した。
名付けて「奉還マスク大作戦」。これを思いついたのは、同組合青年部に所属する仏具店「岸佛光堂」の若旦那、岸紘史さんだ。明治20年から続く老舗家業でやり取りのある県内の寺院に、葬儀の際の返礼品として綿のさらしがたくさん納められていることを知っていた岸さんは、そのさらしでマスクをつくり、マスク不足で困っている地域の人々の助けになることができないかと考えた。そのアイデアを青年部で話したところ20店舗が賛同、「奉還マスク大作戦」として取組みを開始することとなった。
協力を申し出てくれた倉敷市の円乗院と心光寺より、計130反(1反≒10~11メートル)のさらしを譲り受けた有志たちは、当初は自分たちでマスクを作製しようと思っていたという。しかし、衛生面やクオリティ面を考慮し、縫製は同市内の工場に依頼することに。その費用は、有志たち自らが出資した。有志たちは、試作品も自分たちで実際に着けて細かくチェック。鼻の部分にワイヤを挿入したり、口元に不織布を挟み込んだりするなど、新型コロナウイルスの感染防止に少しでも役立つような仕上がりになるようにと、改善を重ねた。こうして出来上がったマスク2千個は、18日(土)より、有志たち20の店舗で利用客に配布されている。
「多くのお客様が何回も『ありがとう』という言葉を言われて、メンバー一同、心より嬉しいと感じています。お寺さんも、地域の人々のために奉納品が役に立ったことをとても喜んでいます。地元に根を張ってこつこつ商売をしてきて築き上げたご縁が、こうした危機の時に生かせるのだと痛感しました。商売自体がたいへん厳しい時ですが、青年部の仲間たちや地域の方たちと一緒に、頑張って乗り切りたい」と、岸さんは力強く語った。
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