3月15日(日)、大阪府池田市の石橋商店街で、同商店街のイベントや地域活性に取り組んでいる大阪大学のサークル『石橋×阪大』の学生の卒業式が行われた。新型コロナウイルス感染症の広まりで、大阪大学の卒業式の開催は中止になってしまったが、商店街での卒業式には、店主たちとサークルのOBOG、地域住民が参加。こぢんまりとした式ではあったものの、笑いあり、そしてほんのり涙ありの心温まるものとなった。
この日、商店街には、桜の花を背景に「卒業おめでとうございます!」の文字が入った横断幕とのぼりがはためいていた。これは、『石橋×阪大』とのコラボ企画で作成したものだ。感染症の影響で大阪大学を含む地域の学校の卒業式が縮小や中止になるなか、卒業生たちが少しでも晴れやかな気持ちで卒業し、新たなステージに進めるようにという気持ちを込め作成したという。のぼりと横断幕の他に、店主たちからのメッセージが各店頭に貼られ、商店街は道行く卒業生を温かく応援する。
「石橋商店街は、駅から大阪大学への通学路の途中にあります。なので、阪大生のなかには、毎日商店街を通ってくれていた学生も多いと思います。イベントなどにもたくさんの学生が参加してくれて、本当に有難かった。卒業しても、是非また遊びにきてほしいです。商店街の皆は自分たちのことを、勝手に阪大生の第二の故郷だと思っています!」と石橋商店会元会長・山口竜司さん(山口寝装店)の阪大生への想いはあふれる。
サークル『石橋×阪大』は、卒業式の行われる直前の3月11日から15日まで、地域の小、中学校が休校になり行き場のない子どもたちが増えたことを受け、商店街内の空き店舗を活用した拠点「くるる石橋」で、イベント「実験教室」を開催していた。1日1時間の講座を4コマ用意し、1コマにつき4~5人子どもたちを受け入れ、換気、消毒を徹底しながら「スライムを科学する」「食品サンプルを作る」「ビタミンCを観察する」「ブックカバーを作る」などの講座を実施した。講座は、教室終了後に子どもたちが家で自らが実践でき、長い自宅待機の期間を有意義に過ごせるような内容にしたという。
「こんな時期だからと躊躇もありましたが、子どもが近所の公園にあふれていたりしていて。それなら疫学的な観点をしっかり考慮して教室を開いたほうがいいと思い、実行しました。こんなことを急遽企画実施できるのも、商店街の理解と協力があってこそです」と、この春大阪大学を卒業し、15日の商店街の卒業式にも参加した『石橋×阪大』の元代表・浅田圭佑さんは語る。
26日には、新入生のサークルの相談会も早速開かれた。商店街と学生たちのつながりと活動は次の世代へと引き継がれていく。