金沢駅から徒歩10分、浄土真宗金沢別院の門前町である横安江町商店街が、ネコによる街の活性化策に乗り出し、集客に向けたプロモーション活動に取り組んでいる。
同商店街は、駅から近江町市場や兼六園といった主要観光地へ向かう道すがらにあるものの、単に通り道としてしか使われず集客はまばらであった。しかし、北陸新幹線の開業を機に観光客が大幅に増加、すると、昭和の街並みが残る通りは特に外国人観光客の目を引き、立ち止まる人の姿が見られるなど人の流れに変化の兆しが現れた。そこで、インバウンド対策を含め、国内の観光客、地元客の集客を図ろうと、世界的にブームとなっている“ネコ”を使ったプロモーション活動を開始、商店街の愛称「よこっちょ」をもじり、一連の取組みを「ねこっちょ」と名付け統一感を持たせた。
「ねこっちょ」第一弾は、昨年1月に海外向けに配信したYouTubeへの動画投稿だ。商店街の魅力発信を目的とし、「歴史編」、「グルメ編」、「くらし編」のテーマ別に紹介、街の看板ネコが案内人となり、気ままに散歩しながら商店街の店を巡る内容となっている。金沢独自の技術を誇る水引の店、毛針の専門店ながらその技法を利用しアクセサリー販売も行う店など、伝統と日本らしさが息づく街の魅力が映し出されている。
この動画配信を皮切りに、日本語版の配信もスタート。さらに、店舗で配布するノベルティ用のポストカード、それを紹介するWEBページの作成と矢継ぎ早に政策を進めた。
「なぜノベルティをポストカードにしたかというと、商店街を紹介するMAPなどの紙媒体では、捨てられてしまう可能性が高いからです。しかし、ポストカードだと蒐集して楽しむ方もいて、さらに、はがきとして使用することで、送り先の方にも商店街の情報が波及していくと考えました」と、同振興組合理事長の篠田直隆さん。
ポストカードは全部で24種類、頭にネクタイを巻きほろ酔い気分のネコ、靴の中で一休みしているネコなど、各店のイメージに合わせた可愛らしいイラストが描かれ、思わず集めたくなるデザインに仕上がっている。
WEBページは「ねこっちょ」専用ページとして、ポストカード、動画の宣伝とともに店舗紹介を兼ねたイラストマップも掲載、縦スクロールをすると商店街の街路を猫が走っていく仕組みで、これには思わず笑みがこぼれる。
「私どもは、年齢に関わらず好奇心の高い客層をメインターゲットとし、これまでもアートを軸とした様々なイベントを開催してきました。そのため、このユニークなポストカードで蒐集欲を喚起し、今後はコンプリート賞を設けたりレアカードを作ったりと、滞在時間の増加や来街頻度の向上に繋がる仕掛け作りをし楽しんでもらいたいです」と篠田さん。
「ねこっちょ」始動から約1年、大きな成果はまだ出ていないが、ポストカードを受け取った人からは喜びの声が上がっており、これからの伸びしろに期待が高まる。
可愛いネコたちがお出迎え「ねこっちょ」詳細ページ ⇒http://k-omotesando.com/nekoccho/