倉敷市児島の「児島ジーンズストリート」に、この 4 月、ジーンズをトリックアート風に描いたトイレと休憩所が新設され話題を呼んでいる。
児島は国産ジーンズ発祥の地。しかし実際には販売店は少なくOEM メーカーが中心で、「児島産のジーンズが児島で買えない」という状況だった。そこで平成 21 年、地場産業のジーンズを活用してまちづくりに取り組もうと、商店街、市、児島商工会議所等のメンバーにより「児島ジーンズストリート構想」を策定。平成 25 年には「児島ジーンズストリート協同組合」を設立し、地元事業者の出店誘致や空き店舗とのマッチングに取り組んできた。 商工会議所とも連携した粘り強い交渉や効果的なメディア活用によりブランディングは進み、今ではジーンズ関連店は 37 店舗に。全国各地からジーンズの愛好家が訪れる街となり、「稲妻デニムフェス」など大規模なイベントも開催されるようになった。現在、年間来街者は 20 万人に迫る勢いに。 急増する来街者に対応しようと、昨年から同協同組合と商工会議所は商店街内に公衆トイレの設置を検討。建設地に近接する住民の理解を得る一方で市へ要望し、このほど地元のデザイナーの監修の元、市や地域の方々で、 正面の壁に巨大なジーンズをはいた片方の足を描いた、だまし絵風のイラストを施したトイレが完成した。壁の右側に立つと自分の足が壁を突き破ったような面白い構図の写真を撮ることができるという。
同ストリート協同組合の真鍋寿男代表理事は、「最近は、国内だけでなく海外からのお客様も増えています。ジー ンズの聖地・児島ならではの思い切り目立つトイレができました。撮影を楽しむと同時にジーンズストリートを国内外にアピールしてもらえたら」と話す。 児島商工会議所の業務課主任末佐俊治さんも「疲弊しきったシャッター商店街が地場産業のひとつジーンズを切り口に非常に活気づいてきた。この勢いを絶やさぬよう新規出店、周辺整備等、意欲的に行っていきたい。」と意気込んでいる。
トイレのすぐ傍には、インディゴ・ブルーの壁に「KOJIMA JEANS STREET」の白い文字のロゴが映える横幅 4 メー トル程の屋根つきのベンチも新設された。 写真映え必至の話題性のあるスポットは、ジーンズストリートの新名所としてもにぎわいそうだ。