胆振東部地震から1年を迎えた9月6日(金)、北海道江別市の大麻銀座商店街振興組合は、全土で起こったブラックアウト(大規模停電)の体験を踏まえた防災イベント「ランタンナイト」を開催した。
2018年9月6日午前3時7分、北海道で最大震度7の地震が起こった。それから間もなくしてブラックアウトが発生し、北海道全土は暗闇に包まれる。大きな自然災害にともなう停電の発生はよくあるが、北海道全域295万戸という規模で一斉に起こったブラックアウトは日本初の出来事で、電力が復旧するまでの45時間、多くの世帯が電気のない不便な生活を強いられた。
大麻銀座商店街で軽食店「menkoiya(めんこいや)」を営む橋本正彦さんは、当時、「食料がない」「避難所がどこなのか分からない」など、地域住民が不安に駆られる姿を多く目にし、非常時に商店街は何ができるのか、と考えたという。そして、今回の防災イベント「ランタンナイト」を企画した。「こうした有事の際に地域のよりどころとしての役割を担えるよう、商店街は日頃から準備をし、その姿を近隣の皆さんにきちんと伝えておかなければ、と思ったんです」(橋本さん)。
6日の晩に商店街は街路灯を消し、各店も店内の蛍光灯を消した。通りは、各店の前に置かれたランタンの光に照らされる。その光の中で、「岸本ふとん店」は発電・蓄電機のデモンストレーション、生花店「flower decoration comoco」はLEDキャンドルホルダーづくり、カフェ「えぞりす亭」は非常食を利用した食事の提供、ゲストハウス「ゲニウス・ロキが旅をした」は災害伝言板を使った情報共有手段の確認など、災害時や停電時の行動をテーマにした催しが行われた。朗読会や引き語りライブなどもあり、来街者は静かな北海道の初秋の夜を楽しんだ。
商店街からの呼びかけに、アウトドアや防災用のランタンを手に集まった近隣の住民からは、「こうしたイベントを行ってくれると、いざという時に安心」「ランタンが灯った通りは幻想的で、とてもきれい。また開催して欲しい」という声が。橋本さんは、「地域の方に頼りにされる商店街になることをめざし、年に一度、このイベントを行います」と語っている。