福岡県北九州市の寿通り商店街で、落書きされたシャッターを綺麗にしながら街づくりを考える活動が続けられている。
寿通り商店街は、かつてはお茶屋や本屋、学生服屋などの物販店が並び、買い物通りとして賑わっていた。しかし、この活動が開始された 2017 年 10 月には 13 店舗中 8 店舗がシャッターを下ろしたままの状態だった。下ろされたシャッターは 落書きだらけ。「汚れたシャッターを綺麗にすることを通して、街に関わりを持つ意識を多くの人と共有したい」と、まちづくり 団体「カタログサンカッケー」代表の福岡佐知子さんが呼び掛けて始まった活動は、名付けて「トムソーヤ大作戦」。マー ク・トウェイン作「トムソーヤの冒険」で、トムが友達を巻き込んで壁塗りをするエピソードにちなんで命名した。
活動資金はオリジナル手ぬぐいの販売や寄付で集め、材料などの提供も呼びかけた。一緒に作業する人を「トムの友達」、応援する人を「村の人」として募集し、共感する人をどんどん巻き込んでいった。 まずは「試し塗りの会」として、昨年10月に6枚のシャッターの清掃と塗装を実施。続いて翌月開催された地域イベント「黒崎こども商店街」では、13 人の子供たちがシャッター塗りに挑戦した。
「より多くの人がシャッターに触れることで輝きが増す」と呼びかけ、有志はどんどん増えていった。こうして地道に活動を続けるうちに強力な助っ人が登場。「らくがきなくし隊」として市内で落書き落としのボランティア活動をしている北九州塗装協同組合が、資材や職人による作業の協力を申し出てくれたのだ。そして6月3日、プロによる指導の下、30枚のシャッタ ーのさび止め、下塗りまでが一気に進んだ。下塗りで白くなったシャッターのおかげで、通りはより明るくなった。
「まずはみんなの手で明るく楽しめる通りにしていこう!」と始めた活動。続けるうちに、少しずつ変化の兆しも見えてきた。 明るくなった通りは人通りが増え、空き店舗への問い合わせも増加したのだ。「人の手と想いが加えられると、必ずあたたかい場所になります。この活動が、やがて空き店舗をお店に変え、シャッターを開け閉めすることになる人を長く助けることを願っています。」と福岡さん。
活動は月一回ペースで継続していき、来月は綺麗になったシャッターに上塗りを施す予定。カラフルなシャッターでさらに 明るい通りへと変貌を遂げるのが楽しみだ。
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