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店主たちが街の空き店舗対策に乗り出した!「貸店舗&商店街ツアー」開催【千葉県野田市・野田市商店街連合会】

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    各種連携

    空店舗活用

街の様子にもしっかり目に留めながら、空き店舗物件へ向かう参加者たち

 千葉県野田市の中心市街地で、10月21日(土)、起業・開業希望者をサポートするイベント「貸店舗&商店街ツアー」が開催された。主催は、野田市商店街連合会「のだまちなかわく沸くプロジェクト」。全国商店街支援センターの空き店舗総合支援パッケージ事業を活用したイベントだ。

 キッコーマンの本社があり、江戸時代から企業城下町(醤油の街)として知られる千葉県野田市の中心市街地は、昭和の高度成長期には東京圏のベッドタウンとして人口が3倍にも急増した街。地元商店街もその成長の波に乗り、大いに栄えてきた。しかし、近年は住民の高齢化に加え、郊外型大型店の進出及び醤油工場の従業員減少などの理由から商店街は顧客を減らし、厳しい商環境に晒されるようになる。店舗数も急激に減少した。例えば野田市商店街連合会で最も多い会員数を有する商店街の野田市本町会では、40年前(昭和57年)には106軒もの実店舗が会員として登録されていたが、昨年の令和4年には、その数が40を下回ったという。

 そんななか、野田市商店街連合会に所属する商店街の店主たちは、10年前から「まちゼミ」の取組みを中心につながり、地元の商業を盛り立てていこうと活動してきた。そして、その活動メンバーが核となり、商工会議所のサポートのもと、昨年4月に空き店舗対策に重点を置く「のだまちなかわく沸くプロジェクト」が立ち上がる。メンバーは週1度、空き店舗対策にテーマを絞った会合を開き、話し合いを始めた。続く5月からは支援センターの空き店舗総合支援パッケージ事業も開始し、プロジェクトは本格的に動き出した。 

 プロジェクトメンバーは、まずは調査を実施した。地域にある72軒もの空き店舗物件をリストアップし、すぐ貸せる物件なのか、修繕や改装はどの程度必要なのかなど、1軒ずつ地道に精査していった。そしてそのデータの中から数店舗をピックアップし、昨年11月には商工会主催の創業スクールの受講生を対象に試験的な空き店舗ツアーを、今年(令和5年)4月の「まちゼミ」では講座のひとつとしてプチ・空き店舗ツアー(2時間程度)を開催した。また、8月の七夕イベントでは創業希望者を募ってのチャレンジショップも実施する。こうして、空き店舗対策のための創業支援イベントのノウハウを着実に蓄積していった。

(上)内見では、講師の先生から具体的で詳しい物件選びのポイントを学んだ(下)野田商工会議所の会議室で、講師だけでなく、商店街の店主たち、商工会議所職員、市役所職員が、あらゆる角度から情報を提供した

 そして、今回の10月21日(土)の「貸し店舗&商店街ツアー」が、野田市で起業・開業してみたいと考える9人の参加者を迎えて、午後1時から5時まで以下のような内容で開催された。

●商店街会長と商店主のトーク:野田市の商店街と商店街ツアーの概要を伝える

● 起業お役立ちミニ講座:講師の先生が「失敗しない創業と物件選びのポイント」を教える

● 見学ツアー:プロジェクトチームの先導で街を歩き、実際に物件を内見しながら、講師が物件のチェックポイントを示す。また、実際に空き店舗を活用して新規開業を果たした店舗も訪問し、空き店舗活用の具体的なイメージを掴んでもらう

●意見交換:参加者各人の起業についてのアイデアを聞きながら、プロジェクトメンバーの店主たち、商工会議所職員、講師が、そのアイデアに即した情報の提供を行う

● 支援機関からの支援内容の説明:商工会議所のサービスや行政の補助金の内容などを伝える

● 個別相談:意見交換で拾いきれなかった質問等に対応する

 ツアーでは、3つの空き物件を内見し、今年の7月20日に空き店舗を活用して開業した飲食店も参考事例として見学した。居酒屋、福祉事業、アンティークの着物販売、書道教室などバラエティに富んだ分野で起業・開業を考える9人の参加者に対し、講師(起業の専門家)、商店街の会長、店主たち(プロジェクトメンバー)、商工会議所職員、市役所職員が、あらゆる角度からアドバイスや意見、情報を提供した。

「今日得た情報は、物件をただ探しているだけでは得られない貴重なもの。この貴重な情報を活かして、みなさんの夢の実現に向けてがんばってください」(フラダンス教室「フラ ハーラウ オ ラウレア」の青木みどりさん)、「野田は街に歴史があり、地域のつながりが強く、人と人とのつながりや口コミなどが商売にもつながる。商店街のメンバーがここにいるので、ぜひこの人脈を使ってください」(「青果 冨多屋」の鈴木直人さん)など、プロジェクトメンバーからの激励の言葉に、表情が明るくなる参加者たち。昨年4月のスタートから、空き店舗を活用して開業した店が既に2軒あるという。野田の空き店舗対策は、一歩一歩確実に進んでゆく。

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