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「メタバースマルシェ」開催 ― 仮想空間で、商店街の魅力をPR!【大分県大分市・大分市府内五番街商店街振興組合】

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8月26日、27日開催の「メタバースマルシェ」のチラシ

 大分県の大分市府内五番街商店街振興組合は、8月26日と27日、仮想空間イベント「メタバースマルシェ」を実施した。県内外の利用者が自分のアバター(分身)を操作して、インターネット上に構築された3次元の府内五番街の世界に入り込み、店主や他の来街者のアバターたちと交流しながら商店街散策を楽しんだ。

 この新しい技術を使ったチャレンジのきっかけは、2020年3月のコロナ禍の緊急事態宣言だったという。「大分の街を人が全く歩かなくなり、飲食業はもちろんのこと、国の補助金が出ない物販業の店主の皆さんが非常に厳しい状況に立たされていました。この状況に何とかしなければと思っていたちょうどその時、メタバースのことを知ったんです」と、同商店街振興組合副理事長の藤井利之さんは当時を振り返る。 

 その頃、大分県は内閣府の「近未来技術等社会実装事業」に参画しアバター関連の事業を推進しており、県内では盛んに勉強会が実施されていた。また、藤井さんが委員となっている全国中小企業青年中央会(全国中小企業団体中央会の青年部)でも、バーチャル物産展を実験的に開催することが決まる。加えて、藤井さんの知人がメタバース空間に登場するアバターやアイテム、背景などを製作するビジネスを立ち上げた。そんな周囲の動きから、メタバースに強く興味を抱いた藤井さんは、「商店街が厳しい状況にある今こそ、未来の可能性を広げるために動き出さなければ。未来に向けて準備をしよう」と考えたそうだ。

 そして同商店街は、2020年4月に県の協力のもとアバターを活用した遠隔買い物サービスの実証実験をスタートさせ、その後も着々と歩みを進めて、2022年1月には国の「がんばろう!商店街事業(=旧Go To 商店街事業)」を活用した初回の“メタバース商店街”イベントを実施。1週間で国内外から約1300人の訪問者が仮想空間に創り出した府内五番街を訪れるという成果を収めた。

インターネット上の府内五番街をアバターが歩く

 今夏の8月26日と27日の「メタバースマルシェ」は、“メタバース商店街”イベントの第2弾だ。「折角メタバースの商店街をつくっても、何もしないほったらかしにしていると誰も訪問してくれない。一人でも多くの人に楽しくこの空間を訪れてもらえるよう、定期的なイベントの開催が重要」と藤井さんは話す。

 今回のイベントでは、地元の私立岩田高等学校とのコラボも実現した。岩田高校にはメタバース部という部活動があり、そこで生徒たちがアバターを制作している。その高校生たちがつくったアバターが、「メタバースマルシェ」の接客や販売で大活躍した。

 また、メタバース利用者のすそ野を広げるために、今回は小中学生を対象の体験教室も開催された。子どもたちは自分自身のアバターをつくり、仮想世界に入る体験を存分に楽しんだ。

 ところでメタバースは仮想の空間ではあるものの、リアル社会ともうまくリンクさせることでそのリアル社会をより充実させることも可能だ。今回のイベントでは、メタバース商店街内の7店舗の店先に設置されたICカードをスマホでタッチすると、各店の名物の3Dデータを無料で入手できる仕掛けを設けた。これによって、参加者は、各店舗の名物をメタバース内でアクセサリとして持ち歩くことができるのだが、この名物というのが、商店街のリアルに存在する店舗が、コロナ禍に独自に開発した自店のプライベートブランドの商品だったのだ。つまり今回のメタバースのイベントは、リアルの店舗のコロナ禍の頑張りを大々的にお披露目する場にもなった。

 「現時点では一部の興味ある人だけがメタバース内で遊んでいるだけかもしれません。でも、将来この世界に入って来る人はもっと増えるはず。そうなれば、より多くの人たちに自分たちの商店街をアピールできるチャンスも広がります。その未来を想定して、これからもメタバースの環境を整え、面白い企画を打っていきます」と藤井さん。府内五番街商店街は、メタバースに磨きをかけて、それをリアルの商店街の輝きへとつなげる取組みを推進していく。

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