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店主たちが演出!!子どもたちが体験したワクワクする商店街の夏【兵庫県尼崎市・立花ジョイタウン商店街振興組合】

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お店の人と一緒に一生懸命に、そして楽しく働いた子どもたち

 兵庫県尼崎市の立花ジョイタウンにて、7月31日から8月6日まで、子どもたちが商店街の店の人になりきり職業体験をする「JOY KIDS(ジョイキッズ)」が開催された。主催は、立花ジョイタウン商店街振興組合。昨年の夏、今年の春に続き今回が3度目となったこのイベントには13の加盟店が参加し、地元の小学生(1年生~6年生)対象に延べ188講座を開講、子どもたちと一緒に“商店街の楽しい夏の思い出”をつくった。

 立花ジョイタウンは、大阪駅からJR神戸線各駅停車で3駅目の立花駅にデッキで直結している、1980年の駅前再開発で誕生した複合商業施設である。地下1階から地上3階までの印象的なピンクの建物の中には、ナショナルチェーンも含む飲食店や化粧品店、衣料品店など30程のテナントが入り、そのうち22店舗が立花ジョイタウン商店街振興組合に加盟している。加盟店店主たちは月に一度の定期ミーティングで商店街の活動について話し合う他、ラインでも頻繁に情報共有を行っている間柄だ。

 JOY KIDSの企画のきっかけは、理事長の峯松完治さん(衣料品店・ひろしまや店主)が全国商店街支援センター発行の冊子EGAO(2021春号)で星野リゾート代表の星野佳路さんのインタビュー記事を読んだことだったという。「その記事から、商店街はお店も人も商品もサービスもさまざまで、その個性との出会いが“楽しい”からこそ人が足を運ぶようになる。だからその楽しい部分をうんと磨いたらいい。そして何より、それを情報として外に発信することが商店街には必要なんだ、ということを学びました。そこで、商店街の定期ミーティングでその記事をシェアして、『うちの商店街だったらどんなことができる?』とみんなに問いかけたんです」(峯松さん)

 その峯松理事長の思いに応え、「巷で流行っている子ども向けの職業体験型テーマパークを商店街でやってみてはどうか。商店街は多くの業種が集まっているので、やればきっと面白いことになるに違いない」とJOY KIDSのイベントを発案したのが、若手のアイデアマン・金井敬士さん(コロッケのころっ家店主)だ。金井さんは、このイベントがPR面でも優れていると考えた。「子どもがお店で、店主とのコミュニケーションを図りながら面白い体験をしてくれれば、その子のお父さんやお母さん、おじいちゃんやおばあちゃんも、きっとそのお店に興味を持ってくれるはず。これは一人一人をターゲットにPRするより、ずっとずっと効率的なんじゃないか、と思ったんです」(金井さん)

 このイベントは、市の教育委員会とPTA連合会の理解も得ることとなる。PR担当の小谷健二さん(ハリマ堂化粧品店店主)は、「このイベントは子どもの地域教育の場となり、また、夏休みの自由研究の題材としても打ってつけということで、市と学校が全面的に協力してくれました」と話す。小谷さんが近隣の5つの小学校に持参した2500枚程のイベントのパンフレットは、各校の各教室で先生方から児童一人ひとりに配布され、それが保護者の手に渡った。

プログラムは近隣の小学校の協力を得て配布。子どもたちから保護者の手へと渡った

 7月31日から一週間開催されたJOY KIDSは、延べ233人の参加者(小学生)にプラスして、彼らの保護者、祖父母、そして参加者の妹弟(幼児たち)で、連日にぎわった。子どもたちは、洋装店で子ども服を選んでマネキンディスプレイをつくってみたり、和食職人から秘伝のだし巻き卵づくりをマンツーマンで教えてもらったり、ラーメン店でラーメンをつくってみたり、ネイリストになってお母さんのネイルを綺麗にしたり、さまざまな職業体験を楽しんだ。「店員さんに親切にしてもらってすごく嬉しかったし、楽しかった。またこのお店に来たい」「このお店のことを知っていたけど今まで入ったことがなかった。買い物に来ます」などの声が、イベントのアンケートに多く寄せられた。駅直結のビル型の商店街は、通勤客には便利だが、外からどんな店があるのか見えないため地域住民に意識されにくく、特に子ども連れには入りやすい店があるかどうかの判断もつきにくい。そんな地域住民との心理的な距離をこのイベントはぐんと縮めた。

 「今後は店舗同士でコラボをして参加者にセット商品なんかをつくってもらったり、複数店舗で時間差の体験ができるようにして、家族の商店街での滞留時間を増やすようスケジュールを組んだり、もっともっと工夫していきたい」と金井さんはこれからのアイデアを語る。店主たちが協力して知恵を絞り合い、イベントの内容をより充実させることで参加する子どもたちとその家族にさらに喜んでもらい、そして商店街にとってもメリットとなる、そんな方法を見出そうとしている。立花ジョイタウンは、これからますます面白くてワクワクする場所になるに違いない。

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