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「アツいまち」を涼しく グリーンカーテン作りから広がる地域の輪【埼玉県熊谷市・星川通り商店街振興会・星川通中央親交会】

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「星川農園」と名付けた川床の栽培場は3カ所。野菜を育てるプランターも土の袋のまま育ててみたり、使われなくなったリンゴ箱を活用するなど毎回工夫を重ねている

「日本一暑いまち」として知られる埼玉県熊谷市。市の中心部を流れる星川沿いの2つの商店街(星川通り商店街振興会・星川通中央親交会)は、街なかに涼しさを届けようと毎夏、川床や店舗の軒下、民家でのグリーンカーテン作りを行っている。商店街と地域住民が一緒になって育てているのは、スイカやトマト、キュウリなど。夏の日差しが降り注ぐ中、生い茂る緑のカーテンが涼やかに街を彩っている。

 この取組みは、日本の歴代最高気温を記録した5つの都市(熊谷市、浜松市、四万十市、多治見市、山形市)の民間団体が組織する、一般社団法人アツいまちの活動の一環。同団体は、2013年から各地での暑さ対策を紹介し合う「アツいまちサミット」を年に1度開催し、他地域のアイデアを自身の街でも浸透させていくことを目指している。星川通りでのグリーンカーテン作りは、多治見市のアイデア(支柱を使って上へとつるを伸ばして栽培するスイカのグリーンカーテン事業)をもとに2019年からはじまった。

立派な実を付けたスイカのグリーンカーテン

「せっかくなら、“純熊谷産”を目指そうと市内の農家さんにお願いして、スイカの苗を作ってもらいました。できた苗を商店街の会員や有志の方に配布して、店の軒下でスイカのグリーンカーテン作りをはじめたんです」と星川通り商店街振興会副会長の中島雄平さんは当時を振り返る。中島さんが一般社団法人アツいまちの代表を務めていることもあり初めは同商店街のみで行っていたが、その後、隣接する星川通中央親交会とも一緒に取り組むようになった。すると、スイカを見に多くの人が商店街を訪れるようになり、2021年には川床での野菜の栽培もはじまった。近年、通りでは宅地化が進み、新しい住人が増えたことで地域との関係が希薄になりつつあった。そこで、街の人々と一緒に植付けや収穫作業を行うことで、交流を深めようという流れになったのだ。

子どもたちも収穫をお手伝い。新鮮な朝採れ野菜は商店街で購入可能。「星川産」の野菜として飲食店でも積極的にメニューに取り入れている

 今年は5月から準備を開始し、定番のスイカ、キュウリ、トマトのほか四万十市名産の米ナスも育てている。苗の植付け時にはワークショップを開催し、親子連れやお年寄り、民間団体や企業など様々な顔ぶれが揃った。活動をはじめて5年目を迎えるが、継続の秘訣は“地域のみんなが楽しむこと”だという。

「初めはスイカが上手く実らないと言っていた高齢の店主さんが、今では他の人にアドバイス出来るくらいプロ並みの栽培知識を身に付けていたり、散歩で通る人が『 楽しそう 』と声を掛けてくれたり、引っ越してきたばかりの人も『一緒に手伝いたい』と言ってくれて、みなさん自分の事のように楽しんでくれています。子どもたちも野菜が育っていく様子に興味津々です」と中島さんは目を細める。
 夏の暑さ対策として始まったグリーンカーテンの取組みは、今、地域交流の場として大きく発展している。

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