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商店街に“天の傘”が出現!子どもたちの願いよ、届け!【広島県福山市・福山本通り商店街振興組合】

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「あの傘、わたしのよ」と自分が絵を描いた傘を指さして喜ぶ子どもたち

 7月8日(土)、9日(日)、広島県福山市の福山本通商店街と福山本通船町商店街にて、「福山とおり町七夕まつり- 願いをとどける天の傘-」が開催された。46回目となった今年の福山本通商店街振興組合主催の七夕祭りは、笹に短冊を吊るして飾るという従来のスタイルではなく、ポルトガルの傘祭り「アンブレラスカイ」のエッセンスを取り入れた初の試み。市内の保育園や幼稚園の園児によって絵が描かれ願いごとが記された何百本ものビニール傘を商店街の通りの上に飾り、それを天の川に見立てて楽しもうというイベントだ。

 このイベントを担当した同組合事業部の桒田(くわだ)慶子さんによると、きっかけは今年4月の商店街の年度行事についての話し合いだったという。それまで商店街の七夕祭りでは、近隣の幼稚園や保育園の子どもたちが短冊に願いごとを書き風船にくくり付けて一斉に空に放つ「風船飛ばし」という恒例の催しを実施していたが、それは環境問題上良くないのではないかという意見が出されたのだ。代案を検討しようとしたちょうどその時、近畿大学工学部建築学科の前田圭介教授から研究室と協働でアンブレラスカイのイベントを行わないか、という申し出があった。アンブレラスカイは忘れ物として放置され最後にはゴミとして捨てられる透明ビニール傘を再利用するもので、環境に対しての配慮も申し分ない。そこで商店街は、今年の七夕に大学とともにこの新しいイベントを実施しようと決めた。

当日は40人もの学生が参加し、ワークショップなども開催してイベントを盛り上げた。前田圭介教授は、2014年から2016年商店街のアーケード改修(天井を撤去してオープンエアーの商店街となった)に携わった人物。傘の設営には、地元の建設会社(大和建設)の協力も

 イベントの準備は5月から約20名の学生とともに本格的に動き出した。商店街、大学、市内17の幼稚園、保育園から集められたビニール傘に、園児たちは色とりどりのセロファンや油性マジックを使って絵を描いていく。加えて、牛乳パックとLEDライトで行燈(あんどん)を作り、その下に短冊もセット。行燈の側面と短冊には、園児に願いごとも書いてもらい、それをビニール傘の柄に吊るした。こうしてできた行燈付きビニール傘700本は、商店街の通りの上にワイヤーで150メートルにわたって吊るされた。設置にあたっては、風で飛ばされないか、安全性を確かめるための実証実験も大学によって行われた。

 そして迎えたイベント当日、商店街には、たくさんの願いごとが書かれた彩り鮮やかな満天の傘の天の川が出現した。2日間で来場者は1万人。家族とともに通りを歩く子どもたちが嬉しそうに傘を見上げる姿が、とりわけ印象的だったという。行燈の光を楽しむために通りの照明を落とした時には、その幻想的な美しさに、あちこちから歓声が上がった。「それはそれは厳かで、息をのむほどの美しさだったんです。それを見た時、今年いつもと異なる形で七夕まつりを実施したことは間違いじゃなかった、と確信しました。これは、前田先生、近畿大学工学部建築学科の学生さん、まちづくり会社福Labさん、市内の子どもたち、そして来場者の皆さんとともにつくり上げた特別なイベントです」と桒田さんはしみじみと語る。

 イベントで使われた傘は、その後、園児たちに返されるものもあれば、地元の企業や商店街の店舗で置き傘として使われるものもあり、“再”再利用の道筋が決まっている。時代のニーズに向き合い、地域のさまざまな人とつながって協力し合いながら、商店街は地域の文化を次世代につなげ、未来の社会を築く場として機能していく。

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