6月17日(土)、兵庫県尼崎市のアミング潮江商店街にて、誰もがほっこり笑顔になれるイベント「あかちゃんハイハイオリンピック」が開催された。これは、同商店街振興組合が毎月第三土曜日に開催している「青空市」に、近隣の関西国際大学の教育学部がコラボで参加した企画。なんと70人もの学生が、「あかちゃんハイハイオリンピック」の他にも、輪投げや射的など8つのブースを出店し、地域の子どもたちや親子連れを大いに楽しませた。
アミング潮江商店街は、JR尼崎駅北口の再開発で誕生した商店街。およそ9ヘクタールの再開発エリアに、平成6年と平成11年に隣接する複合マンションがグランドオープンし、それぞれの1~2階部分を中心に生花店、洋品店、ドラッグストア、飲食店など100を超えるテナントが入っている。2つの複合マンションの間には約600mの歩行者専用道路があり、テナントはその道路を挟んで向かい合って並んでいる。現在、組合の加盟店は36店舗。もともとはマンションごとに異なる組合組織が存在していたが、5年程前にアミング潮江商店街振興組合として一本化、より効率的に商店街活動が実施されるようになった。近隣の大学とは、前出の関西国際大学の他に阪南大学とも交流が進んでおり、学生たちに地域での実践的な学びの場を提供する一方で、学生たちから出される商店街活性化のアイデアを参考にさせてもらったり、一緒にイベントを行ったりと、ギブ・アンド・テイクの関係を築いている。
アミング潮江商店街振興組合理事長の田中正喜さんによると、今回の「あかちゃんハイハイオリンピック」の企画は、毎月行われている組合のミーティングで、組合メンバーの一人が「うちの孫がハイハイできるようになってすごくかわいい。そんな赤ちゃんを集めてハイハイ競争をさせてみたらどうか。きっとみんなが喜ぶようなイベントになるにちがいない」と発案したことがきっかけだったという。田中さんたちは、「あかちゃんや子どものことなら、幼児教育を専門にしている関西国際大学の教育学部に話をしてみよう」と、以前から交流のある大学の研究室にすぐさま相談、すると教育学部1年生全員(70人)が授業の一環としてイベントの企画・運営に協力してくれることとなった。学生たちは、「あかちゃんハイハイオリンピック」の他にも、輪投げや射的、スーパーボールすくい、駄菓子屋など、縁日の子どもの屋台を模した手づくりのブースを8つも準備。また、おしめ替えや授乳できる場所も必要だと提案し、資料置き場となっていた商店街の会議室を大掃除して飾り付け、お母さんとあかちゃんがのんびりくつろげるようなスペースもつくり上げた。イベントの周知も、大学と関係のある近隣の幼稚園や保育園を中心に大学生がSNSで行ったそうだ。
当日の商店街は、親子連れや子どもたちのグループで大盛況だった。「あかちゃんハイハイオリンピック」には22人のあかちゃんが参加し、そのかわいい姿に、おかあさんたちだけでなく、多くの店主や通行人も目を細めた。屋台ブースも大にぎわいで、子どもたちがブースを次々とはしごして楽しんだ。商店街が準備した、青果店の新鮮野菜盛りや鶏肉専門店のてづくりの惣菜などの商品も飛ぶように売れた。
「再開発が続くこのエリアでは、新しいマンションが次々と建ち、若い子育て世代が急速に増えています。私たち商店街は、そうした若い子育て世代の方々に、ここが安全で楽しく買い物できる商店街だとアピールしたい。そんな私たちにとって、こうして学生たちと一緒に活動できることは、大きな強みです」と田中さん。学生たちのやる気とアイデアに触発され、商店街のメンバーは以前にも増して、商店街の活動に積極的に関わるようになっているという。これから続く夏、秋、冬の大きなイベントについての企画も順調に進んでいる。大学生とタッグを組んだ商店街は、若い世代のアイデアを柔軟に生かし、人口が流入する再開発の街を、人と人が有機的につながる面白い街へと進化させていく。