香川県高松市の高松常盤町商店街で、6月1日から謎解きゲームをしながらまち歩きが楽しめるイベント「謎柱(なぞばしら)」が開催されている。
このイベントは、「ゲーム制作を通じて自分たちで面白いまちをつくろう」と香川県で活動する一般社団法人「讃岐GameN(ゲーメン)」と、高松市常磐町・南新町・田町の3商店街で活性化に取り組む「高松南部三町商店街プロジェクト」とが協働で企画したもの。謎解きの問題は、謎制作サークル「謎解きスナックトルゑ」が担当した。
「謎」は、商店街のアーケードの柱や店頭に貼られた4枚のポスターに出題されている。そこに描かれた図形や文字をヒントに1問ずつクリアしていき、すべて解けるとゴールできる。商店街に実際にあるものから全ての謎が作られており、周りを見渡してもらうことで商店街の街並みを感じてもらう狙いもある。
6月1日に開始するとすぐに地元の謎解きファンの間で話題となり、正解者に用意していた景品も2週間ほどで予定数が終了してしまったという好評ぶりだ。
「実は実験的にスタートした企画だったので、こんなに多くの方に参加していただき驚いています」と話すのは、高松南部三町商店街プロジェクト代表の星野行人さん。
讃岐GameNと高松南部三町商店街プロジェクトは、2020年に全国的にも話題になった「ネット・ゲーム依存症対策条例」が香川県で施行されたことをきっかけに、翌2021年から、年に1度3つの商店街を舞台にゲームのお祭り「SanukiXGame(さぬきエックスゲーム)」を開催している。その日は、3つの商店街や周辺店舗を拠点に学生、ゲームクリエーター、ゲームファンがe-Sports大会、AR、VR体験等で「ゲームを通じてまちを面白くしよう」と交流。さらに、トークセッションではゲームの魅力だけでなく問題点についても向き合う機会に繋げるなど充実した内容となり、過去2回のSanukiXGameは多方面から好評を博している。
「SanukiXGameは1年に1日のみのイベントですが、私たちが目指すのは、ここに住む人たちが自分たちの手で面白いまちをつくっていくこと。だから1日だけでなく年間を通じて、商店街は面白いことを仕掛けたり、表現できる場所だと発信したいと思ったんです」
と話すのは、讃岐GameN代表の渡辺大さん。
そこで今回、まずは1か月間「謎柱」を実施することに。 するとSanukiXGameに参加しているゲームファンだけでなく、多くの参加があり、幅広い世代が謎解きを楽しみながら商店街を巡る姿が見られたという。
「難しい問題だったのですが、年配の方も挑戦してくれました。出題者側が意図していなかったところに『これも仕掛けなのでは?』と新たな“謎”を見出す人もいて、次に向けた多くのノウハウを得ることも出来ました。遊びに来たい時に来れば何かしら楽しむことができる商店街にしていきたいと考えています」と、星野さんが話す通り、この謎解きゲーム「謎柱」は、第2弾、第3弾の開催が早くも決定しているという。さらに8月には、新たに即席でゲームを開発するイベントも実施する予定だ。
「ゲームには一見関係がないものどうしを結びつける力があります。商店街には、さまざまなお店や人が集まっていて、さらに今はやってなくても「元花屋さんだった」とか、新旧いろいろな地域の情報が詰まっていて、それはゲームの登場人物やアイテムになり得ます。ふだん何気なく通っている商店街もゲームを通して新たな面白さや魅力に気づくきっかけになれば嬉しいですね」と渡辺さん。
ゲームの楽しさとともにまちの面白さを発信するアイデアは、今後もどんどん生まれそうだ。