神奈川県横浜市の六角橋商店街では9月1日から、認知症についての啓発イベント「オレンジプロジェクト2018」が開催されている。9月21日の「世界アルツハイマーデー」にちなみ、地元神奈川大学の有志と連携のうえ実施されているこの取組みは、今年で3年目。商店街一帯では開催期間中、認知症サポーターのシンボルカラーであるオレンジ色の横断幕や幟が掲げられ、認知症に一人一人が向き合うきっかけとなる催しが繰り広げられる。
「オレンジプロジェクト2018」は、六角橋自治連合会と神奈川大学のボランティア部「GLOBAL YEN LEAP」が主催し、六角橋地域ケアプラザと六角橋商店街連合会、神奈川大学学生ボランティア活動支援室が共催するイベントだ。2015年に立ち上げられた、神奈川大学生と六角橋地域がつながる「まち×学生プロジェクト」の一環として、地域が一丸となって取り組んでいる。
期間中は、認知症について学ぶための講座や、認知症サポーター養成講座、介護と子育てについて話し合うカフェ、頭と体を動かすスポーツイベントなどが、ケアプラザを中心に開催される。それと同時に商店街でも、スタンプラリーや、活動のシンボルカラーのオレンジをテーマにしたお菓子の販売、近隣の小学生たちが描いた「おじいちゃんとおばあちゃんと私」の絵の展示など、様々な関連イベントが展開される。
商店街プロレスやドッキリヤミ市場など若者を惹きつけるユニークな仕掛けで有名な六角橋商店街は、実は、お年寄りにとっても住みやすい街になることを目標とし、特に認知症の人とその家族が過ごしやすい環境づくりを積極的に進めてきた。
その姿勢は、同商店街の3分の1以上にあたる56店舗が、「神奈川区みまもり協力店」に認定されているという事実に表れている。これらの店舗は、認知症に対する正しい知識と具体的な対応方法を学ぶ「認知症サポーター講座」(厚生労働省認定)を受講し、認知症の方たちやその疑いのある方、またその家族が困っているときに進んで声掛けをしたり、見守り活動を行うことができる。商店街は昨年、「神奈川区みまもり商店街」にも認定された。
六角橋商店街連合会の会長で薬局の経営者でもある石原孝一さんは、「認知症を発症してしまうと、以前のその人とは全く別の人になってしまったように感じるかもしれません。でも、その人はその人です。私たち六角橋は全国で初めて、認知症の人に対し、そのまま一人の人として接することのできる商店街になりたい」と語る。
「オレンジプロジェクト2018」は、9月30日まで開催している。
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