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感謝の気持ちを伝えて、さらなる復興を誓う「タンガリボンフェス」開催【福岡県北九州市・旦過市場商店街】

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5月13日の旦過宵市の鏡開きの様子。この日の催しは、振る舞い酒や子どもの縁日など。背景はカラフルなウォールアート

 昨年の4月と8月に二度も大規模な火災に見舞われた福岡県北九州市の旦過市場商店街が、復旧・復興の道を確かな足取りで進んでいる。昨年11月に瓦礫の撤去が完了し、更地となった敷地の一部(市場入り口付近の約90㎡)につくった「タンガレンガ広場」で、12月3日、被災した4店舗がテントでの仮営業を開始した。その後、広場の奥に広がる更地(約1100㎡)に、長屋づくりのプレハブの仮設市場「旦過青空市場」が完成、今年の4月26日から徐々に営業をスタートさせている。火災からの復旧と並行して、再整備事業が進められている旦過市場商店街。「旦過青空市場」には、火災被害を受けた店舗と再整備事業で移転対象の店舗(現時点で21店舗)が順次入居する予定だ。

 この旦過市場商店街で、4月22日から5月20日まで、火災後に受けてきた多くの支援に対する感謝の気持ちを伝えるために、そして同時に新たなにぎわいの創出を願って、感謝祭「タンガリボンフェス」が開催されている。イベント名に “リボン”を付けたのは、リボンが「人と人をつなぐ(結びつける)」「絆」「約束」を象徴するものだから。つまりこのイベントには、「災害後に多くの人から受けた支援、そこでできた絆を大切にすること」「二度と火災のような悲しい出来事を起こさない約束をする」という、商店街の強い想いが込められているのだ。

5月9日の夕方、最後の木片が取り付けられてウォールアートが完成した。木片は、旦過市場の人たちが積み上げてきた日常をイメージしたもの。市場を訪れた人たちに色や模様をつけてもらった

 その想いをテーマに、旦過市場では以下の催しが次々と開催されている。

『野菜染めワークショップ』…旦過市場の野菜で布を野菜染めして、後日旦過青空市場を彩るイベント(4月22日開催)

『食市祭~ありがとうがいっぱい~』…各店舗がそれぞれ半額市、赤札市、季節の特売を行う(5月1日開催)

『みんなでつくる旦過ウォールアート』…火災跡に残る縦4メートル×横14メートルの壁に、北九州市の画家・村詩太さんが製作するクジラが描かれたウォールアート。それに使用する木片(市場で出た廃材を活用した300枚余りの木片)を皆でペイントするイベント(5月6日開催)

『旦過宵市』…感謝の振る舞い酒と、縁日をイメージした射的や輪投げなど子ども向けのブースでおもてなし。商品券が当たるくじ引きも(5月13日開催)

『みんなで守ろう!防災イベント』…消防車や地震体験車で、防災意識を高めるイベント。水消火器を使用した防火訓練も実施(5月20日開催)

 加えて、これらの催しとは別に、店主ひとりひとりが独自に考えて準備した“感謝の商品”の販売が、期間中に各店頭で行われている。

 5月13日の旦過宵市の開会前には、「タンガリボンフェス」のリボンのロゴをデザインした、北九州市の株式会社岡崎デザインによる寄付金の目録贈呈式も行われた。岡崎デザインは、北九州に縁のあるデザイナーに声をかけて彼らの作品を缶バッジにし、旦過市場内に設置したガチャガチャで販売する「旦過チャリティー」という企画を、昨年10月より実施していた。集まった寄付金は、旦過に還元できる取組みに活用しようと、今回の「旦過宵市」の費用として使われる。

旦過市場は、さまざまなチャリティー企画の申し出を受けた。左は「旦過チャリティー」のガチャガチャガチャ。右は、「旦過市場応援自動販売機」。この自動販売機で飲み物を買うと、金額の一部が復興支援として寄付される

 この岡崎デザインをはじめとして、多くの企業、団体、個人から、クラウドファンディングへの参加や個別の申し出などで、旦過市場には総額およそ1億5000万円もの寄付金が寄せられたという。旦過市場商店街会長の黒瀬善裕さんは、「過去に大きな火災が起きた市場や商店街の中には、2年経っても瓦礫の処理が進まず、そのままになっているところもあるそうです。旦過が2度の火災に遭いながらも、1年間でここまで復旧できたのは、本当に多くの方のご支援があったから。北九州の食文化を支える旦過市場を、元気な姿で50年先、100年先につなげていくために、我々は頑張って日々営業して、こうしたイベントを実施してお客様にいらしていただき喜んでいただく。それが支援してくださった皆さんのご厚情に応えること、恩返しなのだと思っています」と語る。

 今までの支援への感謝の気持ちをしっかりと伝え、地域の人々との絆をさらに深める。そして安心して買い物ができる環境づくりを目指す。感謝祭「タンガリボンフェス」の実施は、旦過市場商店街に店を構える人々にとって、今後自らが進むべき道筋をしっかりと見据える機会になったのではないだろうか。再整備事業も含めた、復興のスピードがさらに加速するに違いない。

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