4月29日、埼玉県春日部市で仲町商栄会による「ブロンズ通りフェスティバル」が開催された。コロナ禍を挟み2019年の開催以来4年ぶりとなった27回目のこのイベントには、朝10時の開始時刻とともに地元客が詰め掛け、例年の倍の2万人が集まるほどのにぎわいとなった。
春日部駅東口から北東の方角へ延びる幅約6メートル長さ約270メートルのブロンズ通り。その通りを歩行者天国にして実施される年に一度のフェスティバルは、地元客に愛される商栄会の催しだ。その内容は、半年かけて理事会でじっくりと練り上げられる、オリジナリティあふれるもの。当日は、リサイクル品やハンドメイドの小物、野菜などを売る「ブロンズマーケット」、商店街の飲食店11店舗が美味しい料理でおもてなしをする「仲町フードコート」、生け花やマッサージ、シューフィッティングサービスなど専門店のサービスが体験できる「商栄会専門店ブース」、ゲームやショー、駄菓子屋など子どもたちが大喜びの「キッズパーク」の4つの会場が設けられ、参加した老若男女誰もが大満足の一日となった。
その「キッズパーク」を覗いてみると、そこには「街キャラブース」なるものが。ブースの中では、子どもたちが熱心に絵を描いている。指定された用紙に、春日部にある“好きなモノ”や“好きな場所”をキャラクターにして描いて提出すると、そのデザインが「街キャラカード」のレアカードとして採用されるかもしれないのだ。
街キャラカードとは、老舗の栃惣せんべいの三代目店主都築孝夫さんが、「親子で街と店を楽しく巡ってもらうことで街のことをもっと知ってもらい、街を好きになってもらいたい」という気持ちから10年程前に考案したオリジナルのショップカード。表面にはかわいい動物のイラスト(キャラクター)を描き、裏面には写真と文章で、当初は商栄会の16の店舗を紹介した。イラストを描いたのは、なんと都築さん自身だという。カードは2012年12月22日から配布。配布を記念して街歩きのクイズも実施された。
その後、カードゲームができるような要素を加えたり、参加店の店主をヒアリングしてお店の歴史や店主の思いが伝わるようにキャラクターに動きを加えて描くようにしたりと、改良を重ねながら、現在第3弾のカードが作成されている。参加店舗数は40を超え、地域も業態も広がっている。
今回のブロンズ通りフェスティバルの「街キャラブース」では、レアカードのデザイン募集を行ったほか、商栄会の8店舗をめぐってヒントとなる文字を集めてお宝(レアカード)をゲットする“お店巡りの謎解きゲーム”と、街キャラを使ってのボードゲームも実施し、親子連れを大いに楽しませた。
仲町商栄会会長の石川慎也さんは、「ブロンズ通りフェスティバルは、地域から広く人を呼ぶイベント。今まで商店街を知らなかったという人もここに来て楽しんでもらうことで、商店街の存在を知り、そしてファンになってもらうというイベントです。そこに街キャラのような“街歩き”の仕掛けを組みこめば、イベント会場に来た人に、今度は商店街をめぐって、実際のお店を知ってもらえる。私たちの商店街には一人で商売をしている店も多いのですが、そういう店主の人たちも、回遊性が担保されることで、店を留守にしなくても一緒にイベントに参加できます」と話す。店主たちがアイデアを出し合い、飲食業、物販業、サービス業のすべての業種が力を合わせて企画を立て、お客様に楽しんでもらいながら街のファンをつくろうと頑張る商店街は、その存在感をますます高めていくことだろう。