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まちづくり拠点とまちの魅力を発信する土産物店が同時オープン 商店街の未来が大きく動き出す【愛知県瀬戸市・せと末広町商店街】

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グランドオープンのイベントでは、東海地方の伝統の菓子捲きで、2店舗の門出を祝った。(写真手前が「瀬戸暮らし研究所」で奥が「ヒトツチ」)

 昨年春より、毎月マルシェを開催することで徐々にぎわいが生れている、愛知県瀬戸市のせと末広町商店街。その商店街に4月22日(土)、まちづくりの拠点となる複合施設「瀬戸くらし研究所」と地域の魅力を発信する土産物店「ヒトツチ」が同時にオープンした。商店街の中央部分に隣り合わせで並ぶこの2つの施設は、街の活性化の起爆剤として大きな期待を集めている。

 「瀬戸くらし研究所」は、“地域の豊かな暮らしが持続するための仕組みを創る”をビジョンに掲げて地域づくりに取り組んでいる「株式会社きんつぎ」によってつくられた。不動産を担当する野々垣賢人さんと一級建築士の中渡瀬拡司さんは、野々垣さんが隣の尾張旭市の出身であり、中渡瀬さんの妻が瀬戸市の出身であることから、「自分たちにとって思い入れのあるこの地域を、一過性の流行りではなくその地域資源を引き継いで新しい文化をつくりながら盛り上げていきたい」と2021年5月に会社を立ち上げ、この街に居を構えて事業をスタートさせた。

 二人が新たな息を吹き込んだのは、商店街で40年近く愛されてきたオーダーメイドの高級洋品店「ヴィーナス」。2階建てで床面積150坪以上ある大きなこの空き店舗を、賛同者とともに自らの手で全面改修した。作業に取り掛かるにあたり、行政、地域住民、周辺の店舗、瀬戸焼の窯元などへ幅広く声をかけ、ワークショップを何度も実施して地域のニーズを確認し、建物にどんな機能をもたせるべきかを検討。2022年秋には、クラウドファンディングにも挑戦し、目標金額を達成、建物の広さから考えるとかなり厳しい予算ではあるものの、なんとか資金調達の目処を付けた。

丁寧に改修されていった「瀬戸くらし研究所」。4月22日はキッチンとギャラリーがオープン。他のスペースも今後順次オープンしていく


 こうして地域の人々とともにつくり上げた「瀬戸くらし研究所」は、1階に常設の飲食ブース3つとシェアキッチン2つを備え、この地域で飲食業で創業したいという思いを持った人たちのチャレンジを後押しする。また、ギャラリースペース、コワーキングスペース、シェア工房なども設け、瀬戸焼で有名なものづくりの街に集まる“ツクリテ”の活動もサポートする構えだ。


 その「瀬戸くらし研究所」の隣には、土産物店「ヒトツチ」もオープン。「ヒトツチ」は、商店街から500m離れた場所で築140年の古民家を改修してつくった宿泊施設「ますきち」を営む南慎太郎さん・未来さん夫婦、さらにデザイナーの山本真路さんがメンバーの店だ。南さんは、宿泊客に瀬戸を案内する中で、お土産を探している人が多いと感じていたことから、かねてより瀬戸らしさを感じさせる土産物が集まるお店があればと思っていた。それを今回、形にしたのだ。陶磁器(瀬戸物)をはじめ、間伐材を使った木工品や、焼き菓子など“メイド・イン・瀬戸”の商品を通じて、街の魅力を多くの人に伝えたいと考えている。


“メイド・イン・瀬戸”の商品で瀬戸の魅力を発信する土産物 「ヒトツチ」

 せと末広町商店街振興組合の理事長・大橋徹太郎さんは、「瀬戸くらし研究所」と「ヒトツチ」のオープンについて、「地元に根付いて、街と地域をより魅力的にしようと熱い想いを持っている人たちが、その想いを具現化した施設とお店を私たちの商店街に開いてくれたことを、心より嬉しく感じています。すでにファンがたくさんついている施設とお店ですので、これをきっかけに多くの方が商店街を訪れるようになるに違いありません。そのお客様が他のお店も興味を持って回遊してくれるようになれば、と期待しています。今年は年内に商店街に新しいお店がもう一つオープンする予定です。数年前まで空き店舗が多かった商店街でしたが、少しずついい方向に向かっています!」と声を弾ませる。

 せと末広町商店街は現在、活性化をめざして毎月マルシェを開催しているが、それによって瀬戸出身のクリエイターとのつながりも生まれている。そのマルシェの出店者が、「瀬戸くらし研究所」や「ヒトツチ」ともつながり、さらなるチャンスをつかんでいくという今後の展開も見込まれる。商店街の可能性が、未来に向けて大きく広がっていく。

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