中央・南の両アルプスが望める長野県駒ケ根市の広小路商店街で、先月31日に商店街に並ぶビルの障子の張替え作業が行われた。地域おこし協力隊の前田智子さんが、アルプスを見上げようとした際に破れた障子に目が留まり、廃れた印象を受けたことがきっかけ。障子を綺麗にすることで街の魅力アップを図ろうと商店街に提案し、商店街と2つの有志グループの賛同を得て障子の張替え作業が行われた。
今回作業を行ったのは2階以上の部屋の障子。1階の店舗と違い住居や物置として利用されている所が多く、店主たちの注意があまり行き届かない場所であった。「店主さんの住居部分なので、申し出をしていいかためらいがありました。でも、この街を良くしたいという思いは商店街の方も同じはずと思い、商店街の理事の方に相談したところ、ぜひやりましょうと快諾してくださいました。」と前田さん。
店主たちに作業を申し出、希望のあった5店、計50枚の障子が張り替えられた。作業に集まったのは、商店街の店主の他、地域活性化の活動に取り組む「こまがねテラスプロジェクト」「まちなか賑わい創出プロジェクト・おちつき」の2団体と、さらには一般の参加者の計15名。障子の張替えに詳しい店主の指導のもと、駅前ビルのフリースペースを利用して和気あいあいと作業が行われた。
作業はいざ始めると思っていた以上に大変だったが、15人が協力し合い見事に完了。障子がきれいになったことで、「他の場所もきれいにしなきゃ」という声が上がったり、「障子が破れていたことで、今までそんな風に(廃れたように)見られているとは思わなかった」と意識の変化も芽生えたり、障子の張替えという小さな取組みが良い連鎖反応を生んだ。「今回できなかったところの張替えをしたり、色あせた看板の修理をしたり・・・こうした取り組みを継続していくことで自分の街に関心を持つ人が増えていけば、と考えています。そして、他の商店街でも同じような取組みができれば。新品の様に街を生まれ変わらせるのではなく、小さなことに目を向けてきちんと手入れをし、商店街が歩んできた駒ケ根の玄関口としての歴史を大切につないでいきたいと考えています」と、前田さんはこれからの抱負を語った。