新潟県上越市の上越妙高駅西口のコンテナ型商店街「フルサット」で、3月18、19日の2日間、北陸新幹線開業8周年を祝うイベント「フルサット市」が開催された。
約4年ぶりの本格開催となった今回のフルサット市。テナントの8店舗に加え、市内の事業者を中心にした弁当やパン、総菜、ハンドメイド雑貨の販売やワークショップ、風鈴の製作体験などバラエティに富んだ15店が出店した。
さらに上越市の地域おこし協力隊有志による採れたての農産物や特産品販売、上越妙高駅近くに今夏開業するクラフトビール醸造所「ガンギブリューイング」のビールのお披露目などの初参加の企画も注目を集めた。両日あわせて約2600名が訪れ、家族連れやカップル、年配の方まで幅広い年齢層が久しぶりの市を楽しんだ。
北陸新幹線開業の翌年2016年6月、上越妙高駅西口徒歩1分にオープンしたフルサットは、コンテナを活用し、雪国上越市になじみ深い雁木(がんぎ)を再現した通路で連結した新感覚の商店街。駅周辺はもともと店もなく閑散としていた所であったため、地域の玄関口として、人や食、モノといった街の魅力を発信する場として民間ベンチャー企業が主導して誕生した。扇状に並ぶ真っ白なコンテナの中には、地元食材を生かした飲食店、伝統ある雪室の熟成技術を使ったスイーツ店等があり、地域資源の魅力を伝えるショールーム的な役割を果たしている。
さらに2020年には、これまでの創業・運営サポートのノウハウを生かして「何かを始めたい人を応援しよう」とコワーキングスペース「フルサットアップス」を開設。起業・創業の無料相談やセミナーなども積極的に開催し、新潟県の民間スタートアップ拠点にも選ばれている。
フルサットを運営する株式会社北信越地域資源研究所・代表取締役の平原匡さんは、
「新幹線開業8年を迎え、上越妙高駅の役割が、ゲートウエイ(玄関口)からジャンクション(連結・交差点)化しているのを感じます。さらに北陸新幹線の西への延伸も間近に控えており、このエリアは関東と関西を繋ぐ要衝(結節点)にもなります。新規ビジネスの相談も増えており、フルサットも人・モノ・情報が交わるコンテナタウンとして新たなフェーズを迎えています」と話す。
今回のフルサット市に初参加したクラフトビール「ガンギブリューイング」の出店も、この活動が繋いだ縁だという。
実際、上越妙高駅周辺には、この5年でホテルが3軒、温浴施設、人気の珈琲店も進出しており、アフターコロナを視野に、上越市と妙高市を繋ぐ滞在・回遊型の観光の場所としても注目が高まっている。
平原さんは、「エリアに宿泊施設も増え、夜間需要も高まっています。6月にはフルサット開業7周年のイベントを計画中です。『この地で何かをやりたい』という人も増えているので、地域内のプレイヤー同士で連携しながらさらに盛り上がっていきたいですね」と意欲を見せる。