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古の絵巻物から飛び出した妖たちが活性化の原動力に【京都府京都市・大将軍商店街振興組合】

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まるで絵巻物から飛び出してきたような妖の仮装行列のまわりには、大勢の見物客が

京都市上京区の大将軍商店街とその周辺は、別名「一条妖怪ストリート」と呼ばれ、毎年10月になると、妖(あやかし)たちが出没するのだという。今年も10月20日(土)に、約120体の妖がこのストリートを大行進。3000人もの見物客が訪れた。

このイベントは、十数年前、商店街のお食事処のお客様である絵描きさんが、大徳寺真珠庵が所蔵する「百鬼夜行絵巻」の話を店主にしたことがきっかけとなり、発案された。「百鬼夜行絵巻」は、主に古道具の妖怪「付喪神(つくもがみ)」が、あたかもパレードを繰り広げているかのように次々に登場する絵巻物なのだが、この付喪神が歩いている場所が、まさに大将軍商店街の位置する「一条通り」だったのだ。大将軍商店街の店主たちは、この物語を大切な地域の資源と考え、商店街活性化の取組みに結びつけた。こうして、商店街は自らを、「一条妖怪ストリート」と名乗り、「百鬼夜行」を再現すべく妖怪仮装行列を毎年10月の第三日曜日の前日(土曜日)の夜に実施するようになった。

2005年に開催された第1回目の「一条百鬼夜行」では、嵯峨美術大学の学生約20人が参加し、手づくりの妖怪の衣装を身にまといパレードを行った。すると、その様子がSNSで拡散され、仮装が本格的だと話題に。それ以降、イベントには全国から参加希望者が殺到するようになる。

しかし、「パレードの参加人数がただ増えればいいというものでもない」とイベントの実行委員である大将軍商店街振興組合・理事長の井上明さんは言う。「私たちは『百鬼夜行絵巻』をできるだけ忠実に再現することが大切だと考えていて、パレードに参加できる妖怪の数は、120体ぐらいにとどめているんです。また、参加希望者の妖怪姿を事前に画像でチェックする『妖怪審査』も行っているんですよ。」

こうして質が保たれたイベントは、10年以上繰り返し実施された今でも地域の独自性を存分に発揮し、その魅力は褪せることがない。大将軍商店街には、毎年、この「一条百鬼夜行」を見に、2000~3000人もの観光客が訪れる。特に今年は、昨今のインバウンド情勢を反映し、見物客の三分の一が外国人だったという。

「一条百鬼夜行」がきっかけとなり、嵯峨美術大学では「妖怪藝術団体 百妖箱」というサークルが立ち上がった。現在では年間50人ものメンバーが、大将軍商店街を本拠地に活動し、妖怪をテーマにした数々のイベントを企画して市内各所で運営している。また、今年の4月には、商店街の空き店舗を利用して、妖怪ショップもオープンさせた。
このサークルの強力なサポートのもと、大将軍商店街では、狐のお面づくりや妖怪の和菓子づくりなども、修学旅行生や一般の観光客に対して開催するようになった。年に一度だった妖怪イベントは、恒常的な集客の手段へと発展している。

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