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「いざという時、商店街のみんなが誰かのためにできること」を見える化 防災マップ完成!【徳島県徳島市・徳島市両国本町商店街振興組合】

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店主たちがいざという時にできることを書き出したマップ。店主の顔写真も掲載されている。商店街の顔が見えるつながりは、災害時に大きな力となる

 阿波おどり発祥の地の中心として知られている徳島県徳島市の両国本町商店街が、地域住民と来街者の安心安全のため、市の防災対策課と県内のママ防災士のグループと協働で、防災マップ「みんなの安心安全マップ」を作成した。マップ上には、災害時に商店街の店舗や施設が考えたできることが満載だ。

 この防災マップ作成の取組みは、2020年コロナ禍に突入したことがきっかけでスタートした。「2019年、私たちはインバウンドの取組みを一所懸命行っていました。それで2020年も引き続きがんばるぞ、と思っていた矢先、コロナ禍に突入してしまい、はしごを外されてしまったんです。自分たちはいったい何をしたらいいのだろうと、しばし途方にくれました」と、同振興組合の代表理事・新居綾路(にい あやじ)さんは当時を振り返る。この時、新居さんたちの心に浮かんだのが、阿波おどりでつながりがあり、インバウンド事業でも助言も受けていた、東京都杉並区の高円寺パル商店街振興組合からの言葉「商店街は地域あってのものだから」「商店街は地域のために役立つ存在でなければ」だった。それらの言葉をヒントに、自分たち商店街のすべきことは何かと改めて考えた時、市が南海トラフ地震に備えて防災の取組みを行っていることや、地域で防災の活動をしている“ママ防災士の会”、自主防災会、まちづくり協議会の存在に目が向いた。防災を切り口に、商店街が何かできるのではないかと思った新居さんたちは、市の防災対策課へ足を運ぶ。

 「市の防災対策課の課長さんが、東日本大震災や熊本災害の復興支援に行かれた方だったんです。そこでこの取組みは、まず課長さんの体験談を商店街の皆でうかがうことから始まりました」(新居さん)こうして、商店街のメンバーは、災害時の共助の大切さや商店街の役割の大切さを学ぶ。その後、市の職員、徳島ママ防災士の会Switch、地域住民、大学生の協力を得て、加盟店の各々に、「もしもの時にできること」「もしもの時に困ること」についてヒアリングを行った。店主たちは自分たちがどんなことができるかを、真剣に考えて回答。それをまとめて“見える化”したのが、今回のマップだ。

 マップには、商店街の32店舗の紹介と、「炊き出しに参加する」「近所の人の安否確認」「AEDと発電機あります」「防災ラジオあり」「トイレや水など提供」など災害時にサポートできることが中心にまとめられている。それに加え、災害用伝言ダイヤルをはじめとする家族や仲間との連絡手段や、「避難前にはブレーカーを落とす」といった避難時の注意事項なども記載されている。また、もしもの時を想定して誰とどこへ逃げるかを、自分自身で書き込む欄も設けた。

マップ制作のためのワークショップ。班に分かれて、商店街や近くの避難所を歩いて確認したことも

 「“誰かがやってくれるだろう”ではなく、自分の命を守った後に“誰かのためにできること”を、商店街のみんなが具体的に考え、それをマップに反映させました。また、何度もワークショップを開き、防災マップに必要な情報を検討しました。この作業ひとつひとつが、地域との連携を深め、いざという時に大切な人の命を守ることにつながるのではないかと思います。この地域に住む誰もが感じる災害に対する不安を、私たちが防災のマップをつくったり、イベントをしたりすることで、未来への希望に変えていけたら」と新居さん。

 商店街は、3月に地域のまちづくり協議会が主催する「福祉まつり」でまち歩きイベントを実施する。防災についてのクイズをつくり、参加者にクイズを解きながら商店街を廻ってもらう予定だ。また、近くの避難場所への避難訓練を行ったり、毎月最終日曜日に地域で開催する「とくしまマルシェ」に合わせて、地域住民が防災を身近に感じるような催しを阿波おどりと掛け合わせて実施しようと考えている。「皆でアイデアを出し合って、防災を切り口にできることをいろいろやってみようと思います。行動あるのみ!」新居さんは、声を弾ませてこれからについて語った。



※ 「みんなの安心安全マップ」 は、 こちらからご覧いただけます。(徳島市両国本町商店街振興組合HP)→→→ 両国本町商店街・みんなの安心安全マップ

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