東京都東大和市南街に位置する富士見通り商店街にて、現在「『にゃんがいい』アートプロジェクト2022」が実施されている。同プロジェクトは、富士見通り商栄会と東大和市が主催する、商店街を舞台とするアート事業。近隣の武蔵野美術大学の学生有志が猫をテーマにアート作品を制作し商店街の店舗に展示することで、元気で楽しい街を創出しよう、というものだ。この度16店舗の作品が完成し、12月22日から完成披露イベントが開催されている。
富士見通り商栄会は数年前から市の産業振興課と商店街の活性化の方策について話し合いをしてきたという。そして3年計画を立て、昨年はホームページを改修。今年は、例年実施している販促イベントの他に、より多くの人に商店街を知ってもらうための仕掛けを企画しようと考えた。「話し合いの中で、店先にアートを飾って多くの人に通りを歩いてもらうのはどうか、という案が出ました。それならば近所のムサビ(武蔵野美術大学)にお願いするのがいいよね、となったんです」そう話すのは、商栄会会長の米山良太さん。最初は申し出を断られるのではないかとの不安もあったそうだが、プロジェクトの説明会にはなんと40人もの学生が集まり、最終的には23人の学生とその関係者2人が参加することとなった。
作品のテーマは“猫”。富士見通り商栄会には、もともと“南街(なんがい)”という地名から名づけられた「にゃんがいい」というマスコットキャラクターがいることから、このテーマでプロジェクトを進めることに。制作期間は8月から11月で、学生たちはそれぞれの作品が各店の“看板猫”になることを願い、各店に最もふさわしい作品づくりをしようと、店主と相談しながら自分たちのアイデアと店のコンセプトのすり合わせを行っていった。そしてついに、デザインや色、大きさ、素材など、各店舗の雰囲気にマッチした16のウォールアートやシャッターアート、オブジェなどが完成した。
商店街では、12月22日から1月20日まで、完成披露イベントが開催されている。初日の22日には、市長を招いてのセレモニーと、「アート解説1DAYイベント」として商店街に飾られた16のアートを巡るツアーが行われた。イベントの参加者は、展示されている店舗で作品を観賞し、制作者による解説とその想いに耳を傾けた。
作品は現在、富士見通りのイベント参加店舗で見ることができる。作品と制作者、展示場所を示した「にゃんがいいアートマップ」も用意され、商店街や市役所、南街公民館などで配布されている。期間中、南街公民館では、各店舗に設置した作品の写真とその制作過程などを綴ったものが展示されている。
今回初めて地域の学生たちと一緒にプロジェクトを行った富士見通り商栄会。「学生たちのアイデアは斬新で、驚きの連続でした。学生とのやり取りの中で、店主たちはたくさん元気をもらいました。猫好きのお客様も多いので、展示を見るために店先で足を止める方も結構いらっしゃいます。来年もこのプロジェクトを継続して、作品を展示する店を増やし、自分たちもそして街ももっともっと元気にすることができたら」と、米山さんは来年の抱負を語った。