11月19日、20日、21日、岩手県雫石町の雫石よしゃれ通り周辺JV.(雫石よしゃれ通り商店街周辺店舗の有志が集まって活動している団体。以下「JV.」)が、商店街から5キロほど北に向かった長山猿子地区で移動販売を実施した。買い物や生活に不自由を感じている地域の高齢者に商店街の商品やサービスを届ける取組みだ。
会場は旧スーパーマーケット(ミニスーパー)の空き店舗を活用してつくられた「OZASIKI」という名の地域活動の拠点。地域の高齢者の暮らしを便利にする販売会や、子どもたちに楽しんでもらうイベントなどを、毎月週末を中心に企画・実施しているこのOZASIKIに、JV.は昨年から年に数回訪問し、商店街の複数の店舗から集めた商品を販売している。
「高齢者の免許返納が推奨されている今、公共交通が衰退している地域に住む高齢者には、ちょっとした買い物に出かけることも難しくなってきています。また、コロナが流行れば、さらに外出がし難くなります。そんな方たちの買い物をサポートするサービスをやりたいという、店主さんたちの声を受けて、この移動販売はスタートしました」とJV.の事務局担当の角田匡昭さんは話す。
実はJV.は、今年、通販サービスも開始。「よりそい買い物サポート通販BOOK」というカタログ(パンフレット)を作成し、買い物に出歩くことが難しい高齢者の自宅へ、商品、サービスを提供する取組みも始めた。「よりそい買い物サポート通販BOOK」の特徴は、お悩み別の目次ページが設けられていること。その目次の、例えば「日々の生活でお困りのこと、水道やガスのインフラやキッチンのお悩みなど」という項目を見てみると、「切り花を長持ちさせたい」「時計が止まった、バンドが切れた」「包丁が切れない、錆びてきた」「水道料金が高くなって水道局から漏水と言われた」「スマートフォンの使い方がわからない」というように、高齢者が日常生活で遭遇する可能性のある困りごとが列挙されていて、それらを解決できるお店を探し出せるようになっている。
「高齢者の皆さんが困った時に、商店街のお店をどうぞ使ってください、という気持ちを込めてこのパンフレットをつくりました。こうしたサービスで商店街と地域の高齢者がつながれば、福祉の面だけでなく商売の面でも、お互いが助け合える存在になります」と角田さん。
週末移動販売の会場に集まった高齢者の方々は、みな楽しそうに買い物をしていたという。少子高齢化高齢化が進み、人口が減少し、日常生活が不便になっていく地域で、商店街は知恵を絞って新しい形で商売を続け、地域の人々の支えとなり続ける。
※ 雫石よしゃれ通り周辺JV. は、 全国商店街支援センターの「トライアル実行支援事業」を活用し、 「よりそい買い物サポート通販BOOK 」を作成しました。こちらからデジタル版でご覧いただけます⇒ 「よりそい買い物サポート通販BOOK (デジタル版)」