9月23日から25日までの3日間、石川県金沢市の竪町商店街で、「Touch The Sky Tatemachi Culture Festival」が開催された。これは、2019年から毎年開催している「タテマチ屋上映画祭」に、今年新たに音楽ライブやダンスパフォーマンスが加わったイベントだ。商店街関係者は街の新たな賑わいにつなげようと期待を寄せている。
竪町商店街にとって2019年はターニングポイントの年だ。かつて、“北陸最大級のファッションストリート”と呼ばれ若者を中心に多くの人が訪れていた同商店街は、ネットショッピングや北陸新幹線開通などの影響で、そのにぎわいを失いつつあった。そこで、次世代を担う30~40代の若手メンバーが中心となり、商店街の将来像について話し合おうと「街のリブランディング会議」を開催する。
「会議を通じて、この街には、昔から脈々と受け継がれている金沢のクラフトマンシップやクリエイティブスピリッツがあることに気づきました。それに加え、金沢21世紀美術館などの現代アートという素晴らしい資産もあります。この土壌を生かし、竪町にしかない新しいアート&クラフトを発信することで街の魅力を高めていこうと、皆で方向性をしっかりと決めました」と、同商店街振興組合理事長の西田倫明さん。
こうして商店街が始めた新たな取組みが「タテマチ屋上映画祭」だ。映画で金沢の街を盛り上げようと活動している「カナザワ映画祭(一般社団法人映画の会)」とタッグを組み、商店街が所有する6階建て立体駐車場の屋上に、8m×6mの巨大スクリーンと150人収容可能な観覧席を設置、7月に3日間限定の夜の映画館を出現させた。開放的な空の下での映画鑑賞を楽しみに大勢の人が訪れ、以降、毎年人気のイベントとなっている。
第4回を迎えた今年は昼の時間もフル活用し、新たに音楽ライブを初開催。初日と2日目の夜には、カナザワ映画祭セレクトの覆面上映(当日まで作品名は秘密)と90年代のストリートカルチャーをテーマにした作品を上映し、2日目・3日目には、DJライブやダンスパフォーマンス、国内外で活躍するアーティスト2組による音楽ライブが行われた。さらに、6階フロアではフードやドリンク販売のほか、ドレッドヘアの体験ブースなども用意した。
同商店街振興組合で販促副委員長を務める北川直美さんは、
「3日間を通して、子どもから大人まであらゆる世代の方が来てくれました。その中には、『かつて洋服を買いに竪町に通っていました』と、懐かしそうに顔をほころばせる方もたくさんいて。そんな姿を見て、当時の思い出とリンクするような映画を今後上映しても面白いのでは、なんてことも考えています。これからも竪町らしさを大事にして、新しいことにどんどんチャレンジしていきたいです」と笑顔を見せる。