岡山県井原市の新町商店街で、毎月第4日曜日の9時から14時まで開催されている「新町マルシェ」が話題だ。駅から遠く離れた商店街への誘致を目的にはじまったこのマルシェは、普段閑散としていた通りに毎回500~700人が訪れるほどの賑わいを生みだしている。
運営を担うのは、商店街の店主、地域おこし協力隊、会社員などの有志で構成される新町商店街等賑わいづくり実行委員会だ。委員長を務め商店街で体験型デニムショップを営む小野華子さんは、開催のきっかけについて話す。
「2020年の春、商店街では市の特産品のデニムを活用して街を盛り上げようと、デニムの調度品をあしらったホテルやデニムがテーマの複合施設を次々とオープンしました。しかし、その直後にコロナ禍に突入してしまって。こんな厳しい状況で、しかも最寄りの井原駅から徒歩30分と離れている私たちの商店街に、どうやってお客さんを呼び込むか…考えた末、マルシェを毎月開催することで継続的に人を呼び込もうということになったんです」
こうして同年10月、第1回新町マルシェが開かれた。会場は、商店街の空き家や空きスペースに加え近くの公園も活用。小野さんが声掛けした外部の出店者や実行委員のメンバーが、地元食材を使用したフードやドリンク、雑貨のほか、デニムのワークショップなどを出店。駅からの移動をスムーズにするためシャトルバスも走らせた。すると、普段は静かな通りが一変、人が溢れ賑やかな声が会場のいたる所で響き渡った。
第2回の開催以降、コロナ禍の影響で予定の半分以上が中止となったものの、毎回の来場者は500~700人にのぼり、マルシェに出店したいとの声が続々と寄せられるように。さらに、昨年10月、通常のマルシェの拡大版として、ステージイベントを盛り込み普段より1時間延長して開催された「いばらまちフェス」では、なんと1500人もの来場者が訪れたそうだ。
この成果に小野さんは、「有志でやっているためお金はあまりかけられていませんが、SNSや新聞の折込チラシに地元ラジオへの出演と、自分たちが使えるツールを駆使して情報発信を積極的に行ってきました。アンケートをとると、『SNSを見て知りました』『地元から来ました』といった声が多く見られるので、その効果が出ているのかなと感じています。でも、まだまだこれからなんです」と喜ぶ反面気を引き締める。というのも、普段の通りは未だ閑散としたままなのだ。マルシェのにぎわいを日常につなげるため、まずは毎月の開催を続け、1人でも多くの出店者にこの地域に興味を持ってもらうことが目標だという。「お客さんが飽きてしまわないよう、常に工夫を凝らすことが大切」そう話す言葉通り、8月27日にはいつもとは異なる16時から20時までの時間帯に「新町土曜ナイトマルシェ」 を開催することに。夕涼みがてら普段とは違う通りの雰囲気を楽しんでほしいと笑顔を見せる。
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