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彩り溢れる商店街へー「ベンチアート」と「傘アート」でつながる人の輪【宮崎県西都市・小野崎商店街】

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色鮮やかな「 ベンチアート 」が並ぶ。明るい空間へと生まれ変わった

 宮崎県西都市の小野崎商店街が、カラフルに彩られた7台のベンチと110本のビニール傘を商店街の「あいそめ広場」に設置し、街のにぎわいに繋げている。

 この取組みは、商店街の若手店主9名が「街を本気で盛り上げたい!」と実施しているSOAプロジェクト(※注)の一環だ。プロジェクトが立ち上がったのは今年の1月、同広場で行われていた市が主催のプロジェクションマッピングイベントで、店主たちが自発的に来場者へのおもてなしをはじめたことがきっかけであった。

「平日の来場者が2、3組と盛り上がりに欠ける中、『せっかく来てくれたお客さんに何かしてあげたい』と、温かい飲み物やおみくじを用意したり、お店を飾り付けて撮影スポットを作ったりと、店主さんたちが各自でおもてなしを始めました。それまでは顔見知り程度の関係だったのですが、そんな互いの姿に共感し意気投合、みんなで街を盛り上げていこうとなったんです」と、同プロジェクトのメンバーで商店街のショッピングセンターPAO内の駄菓子屋店主、増田祐一さんは話す。
 こうして思いを一つにした店主たちは、イベント最終日の前日に、高校生によるダンスパフォーマンスやビンゴ大会などを盛り込んだ「イルミネーションファイナルイベント」を独自で開催。それが、SOAプロジェクトの初の活動となった。

 そうして次に取り組んだのが、前述のベンチアートだ。商店街の顔でもある広場には元々17台のベンチがあったが、老朽化が激しく利用者はほぼゼロの状態であった。そこで、街のにぎわいに繋げようと3月からベンチのクリーニング作業を開始。すると、メンバーの家族や知人、SNSを通じて活動を知った人が協力したいと集まり、せっかくならおしゃれにしようと、うち7台に絵を描くことに。SOAプロジェクトの文字を書き入れたものやピアノの鍵盤が描かれたユニークなものなど個性豊かなベンチが完成した。設置するとすぐに、ベンチで寛いだり写真を撮って楽しむ若者の姿が見られるようになったという。

「傘アートの」ディスプレイが完了した6月にはマルシェが開かれた

 続いて取り組んだ傘アートは、現在110本もの傘が広場前のアーケードの天井に吊るされているが、きっかけは増田さんが飾った1本の傘だったそう。日頃から忘れ物のビニール傘が大量に廃棄されていることを気に掛けていた増田さん。試しに絵を描いた傘を1本飾ってみたところ、「それなら私も」と同じ施設の従業員から賛同者が続々と現れ、5月には一般向けに傘アートのワークショップを開催するまでに至った。

「プロジェクトの立ち上げからこれまで、それぞれが街のためにと動いた結果、自然と活動の輪が広がっていきました。補助金などは一切使わず必要な物は自分たちで用意して取り組んでいます。ペンキを持参して活動に参加してくれる方がいたり、日々ゴミ拾いや掃除をしてくれる人が現れたりと、街を大切に想う人の輪もどんどん広がっているように感じます。『この街でもう商売はできない』と移転を考えていた店主さんもいたのですが、日に日に変わっていく街の姿を目の当たりにして、『もう少しここで頑張ろう!』と言ってくれるようになったんです」と増田さんは笑顔を見せる。

 人と人とがつながり、彩り溢れる場へと生まれ変わった商店街の「あいそめ広場」。傘の展示は7月いっぱいを予定しており、まだ色を塗られていない残りのベンチは、地元の高校生や中学生など子どもたちにも参加してもらい絵を描いていく予定だ。
 SOAプロジェクトのメンバーは、さらなるにぎわいづくりに向けて歩みを進めていく。

(※注)SOAプロジェクトは、西都(さいと)市、小野崎(おのざき)商店街、あいそめ広場の頭文字を取って名付けられた。

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