今春、7年ぶりの御開帳が行われている長野県の善光寺。表参道の長野市中央通りは、長野駅から1.8km続く長い道で、創業100年を超える老舗も多く立ち並ぶ。その通りの駅側の玄関口に位置する南石堂町商店街では、5月3日から31日まで、御開帳の機運を盛り上げようと、IT技術を使ったイベント「謎解きで周遊 お客様キャンペーン」が開催されている。
「謎解きで周遊 お客様キャンペーン」は、ポスター、チラシ、商店街のHP上に掲載されているQRコードを携帯電話で読み込むことで画面に現れる謎解きの問題を解きながら、商店街に隠されたチェックポイント(店舗)とキーワードを入手し、最終的には4つのキーワードを集めて景品に応募する、というゲームイベント。謎解きの解答が導くチェックポイントにたどり着くと、そこに別のQRコードが隠されていて、それを読み込むと新たな謎が出てくるという仕組みで、参加者は、謎解きを次々とクリアすることで、商店街を周遊する。コースはA~Cと3つあり、Aは飲食店、Bは観光客がよく訪れる店、Cは日用品などを扱う店がそれぞれ5店舗ずつエントリーされている。
このゲームは、商店街と、市内の大学、高校との協働作業で制作されたものだという。ゲームのシステムづくりに関しては、地域社会の課題とIT技術の適用についての研究を行っている清泉女学院大学の榊原ゼミとアイデアを出し合い、コンテンツの謎解きの問題は、県立長野高校のクイズ研究会の助けを借りた。「大学生や高校生たちの斬新で豊かなアイデアを活用させていただくことで、コロナ禍でも安心な非接触の面白いまち歩きゲームが出来上がりました。商店街に来る方たちに楽しんでいただければ。さらには、彼らと一緒に取組みを行うことで、一人でも多くの若い世代の方たちに商店街に興味を持ってもらえれば」と、南石堂町商店街振興組合の事務局長・宮下佳隆さんは、その狙いを語る。
このイベントの他にも、同振興組合は、駅付近にある協同組合ナガノ駅前センター、協同組合長野駅前商店会、北石堂商店街振興組合、長野銀座商店街振興組合と連携し、善光寺御開帳に合わせて地域全体を盛り上げる取組みを積極的に行っている。5月4日には、この駅近5つの商店街の有志が実行委員会の中心となり、「第8回 NAGANO善光寺よさこい」を開催。県内外から9チーム、合わせておよそ200人が集まり、歩行者天国となった中央通りで華麗な演舞を披露した。もちろん感染症の対策をしっかりと呼びかけての実施である。
「この期間は、“日本一の門前町大縁日”と称して駅前から善光寺にかけてあちこちでイベントが開催されます。私たち駅近のエリアでも、北石堂商店街ではクラフトビールを販売したり、長野銀座商店街は『花の逸品スタンプラリー』に参画したり。うちも5月21日、22日にマルシェも行うんですよ。こうした、それぞれのイベントを皆で周知し合って、街全体を盛り上げているんです。いらっしゃるお客様に、この街をうんと楽しんでもらいながら自分好みのお店や場所を見つけてもらえたら。そして私たち商店街も、少しでもコロナ禍の痛手から回復することができれば」と宮下さん。
善光寺の御開帳は、今年は密を避けるために1か月間延長されて6月29日まで予定されている。しばらく、長野の街は華やかな日々が続く。
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