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「冷凍自販機」で、商店街の新しい食のかたちを追求する【兵庫県尼崎市・塚口商店街振興組合】

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たくさん売れますように!ー 4月29日午前0時からの販売開始に備えて前日の午後に商品の搬入を完了。「松葉寿司」「居酒屋 花山葵」「炭火ステーキ 六段」「イタリアン barNO」 「アリクイ食堂」「菓子工房ぷちぷちアンサンブル」の店主たちと村上理事長

 若手店主がアイデアを出し合いユニークな取組みを次々に実施している塚口商店街振興組合(兵庫県尼崎市)が、またもや新たな企画を打ち出した。

“冷凍革命”と称したこの企画は、冷凍自動販売機(冷凍自販機)で商店街の味を販売するという、画期的なもの。4月29日より、加盟飲食店の10種類の自慢の逸品が、商店街内に設置された冷凍自販機で買えるようになる。

 33店舗(飲食店15、美容院6など)からなる塚口商店街では、若手店主が毎月1度会合を開き、自由な雰囲気で意見交換をしながら自分たち独自の課題解決の道を探っている。ここ数年は、コロナ禍で危機に陥っている飲食店の救済策について話し合うことが多かったが、そうした中で、“冷凍自販機で商店街の味を販売しよう”という今回の企画が生まれた。

 塚口商店街振興組合理事長の村上憲司さんによると、この企画は、もともと寿司の冷凍販売を百貨店などで行っていた「松葉寿司」の店主の提案からスタートしたのだという。「飲食店にとっては、冷凍自販機で、自分たちの料理をお客様に買ってもらうことができれば、コロナ禍で営業時間が短縮されても商売の機会が奪われずに済みます。一方、お客様にとっても、24時間、365日好きな時間に、しかも一度に複数の店の逸品を購入できるという利点があります。加えて、冷凍という技術を使うことで、食材ロスの減少や、外食が困難な高齢者の食の楽しみを増やす機会にもなることから、社会貢献にもつながる、実にメリットの多い企画なんですよ」と村上さんは声を弾ませる。

 松葉寿司とその提案に応じた5店舗の計6店舗は、昨年の1月から、冷凍でも美味しく食べられるメニューの開発に乗り出した。開発にあたっては、プロトン凍結機(次世代の急速冷凍機と言われている設備)を所有している松葉寿司が一肌脱ぎ、凍結機を無料で他店に貸し出した。参加店舗の店主、シェフたちは、試作の冷凍品をつくってはそれを解凍して味や食感を確かめる作業を何度も繰り返し、他店とも協力して互いに試食し合い、9月にようやく“これぞ逸品!”と皆が唸る納得の品々を完成させた。こうして創り出した冷凍料理は、“商店街認定の味と品質”を保証する塚口商店街ブランドとして位置付けられた。この企画は、11月に、尼崎信用金庫が主催する第11回「あましんグリーンプレミアム」(※注)で最優秀賞に選ばれ、その賞金の100万円は、冷凍自販機の設置費用に充てられたという。

冷凍自販機のラッピングデザインもインパクト大。食欲をそそる


 外部機関での食品検査も完了し、年をまたいでこのゴールデンウィーク初日の4月29日、ついに冷凍自販機での販売が開始となる。寿司、スパイスカレー、ラザニア、ステーキ重、ハンバーグ、カツサンド、キッシュなどバラエティーに富んだ商店街の自慢の味が販売機の10のブースに並ぶ。「またひとつ、商店街に新しい可能性が生れ、ワクワクしています。私たちはこれを“冷凍革命”と名付けたのですが、この革命が商店街と地域にどう波及していくか、これからが本番といったところです。コロナ禍の新しい生活様式が叫ばれる今、飲食店の多い私たちの商店街は苦戦を強いられていますが、そんな中でも皆で知恵を出し合って、協力し合いながら頑張っています。その頑張りから生まれたこの新たな取組みが、地域の人たちの生活にも潤いをもたらすことができれば。参加店舗もこれからもっと増やしていきたい」と、村上さんは力強く語った。


(※注)

「あましんグリーンプレミアム」とは

尼崎信用金庫の営業エリア内の法人・個人・団体を対象に、環境改善に寄与する優れた技術や製品・工法、取組みやアイデアにスポットをあてた表彰制度。新技術の開発や環境文化の創造につながることを願って創設された。

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