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大学生がつくる素朴であたたかい商店街のエコショップマップ【石川県金沢市・金石町商店協同組合】

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学生と店主、地域を結ぶエコショップマップ

 石川県金沢市は、2003年から、商店街、スーパーマーケット、百貨店等の商業団体と消費者団体、学識者らをメンバーに「金沢市環境にやさしい買い物推進協議会」を設立し、“環境への負担の少ない商品やサービスを選ぼう”と市民に呼び掛けるグリーンコンシューマーの啓発活動を継続的に行ってきた。その活動の一環として、2014年度より、市内の美大や高校などと連携し、商店街のエコショップマップも作成している。昨年度(2021年度)は、8つ目のマップとして、昔ながらの商店街「金石町商店協同組合」のエコショップマップが作成された。マップはこの春配布され、商店街の魅力が、環境に配慮した取組みとともに地域に周知されている。

 「金石町商店協同組合エコショップマップ」の制作を担当したのは、学生団体「Five Colors(ファイブカラーズ)」。昨年7月に金沢大学地域創造学類の学生有志が発足させた新しい団体で、金沢の街の魅力を歩いて探しながら地域とつながり、学生の目線で課題を発見して活性化の取組みへとつなげようと、積極的に活動している。市の環境政策課は、この団体が、ごみ拾いをしながら街歩きをするイベントを実施したことを知り、環境活動と商店街とがリンクするエコショップマップの制作者として打ってつけの存在と、声を掛けたのだという。その声掛けに応じたFive Colorsの11人の学生たちは、8月から商店街に何度も足を運び、組合加盟店の20店舗を取材した。

 金石は、中世より海上交通の要所となり、江戸時代には北前船の寄港地として城下町金沢の海の玄関口として栄えた街。海鮮問屋の屋敷や町屋、神社、寺院など、今なお当時の面影が残り、路地を歩けばまるでタイムスリップしたかのような気持ちになるという。そんな歴史ある街の魅力と、商店街の店主たちのあたたかい人柄、そして各店舗の環境に対する取組みをうまく組み合わせて地域の人たちに伝えたいと、学生たちは奮闘した。

 その学生たちの想いは、「野菜は必要な分だけ“切り売り”してくれる思いやりのあるお店!100年以上続く近所の憩いの場になっている。(鳥畠青果店)」「昼は麺屋さん、夜は居酒屋さんとして営業中。お客さんの年齢層に合わせて提供する麺の量を調整している。(めん房なかもと)」「港町金石で作る、魚によく合う醤油が自慢!期限の近い醤油の再活用、醬油瓶の回収なども行っている。(鍋貴醤油)」など、紹介文の文面に溢れている。街のグルメを紹介したり、時計店から聞いた“時計を長持ちさせるコツ”をコラムにしたりと、素朴なつくりながらも随所に工夫がちりばめられた。各店舗の環境に関する取組みも一目でわかるようにと、「エコなサービス・商品」「修理・リフォーム」「地産地消」「食品ロス対策」「省エネ」「簡易包装」の6つの項目がアイコンで示されている。

 いなば生花店を営む、金石町商店協同組合理事の稲葉淳さんは、「若い世代に地域のことや環境のことを考えてもらう機会を提供するというプロジェクトの趣旨に賛同し、商店街として協力しようと決めましたが、実は私たち自身にとっても、環境に対する意識を見つめ直すいい機会になりました。学生たち(当時1年生)がお店に取材に来たときに、年配の店主の方たちが生き生きと積極的に対応されているのを見て、若い世代と一緒に活動することの大切さを実感しました」と話す。


「金石町商店協同組合エコショップマップ」は、八つ折りA3判。5500部作製され、金石町商店協同組合の加盟店や金沢駅構内の案内所、同市環境政策課などで配布されている。

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