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“壁”から広がる交流の輪。社会実験を機に新たなにぎわい創出へ【愛知県名古屋市・笠寺観音商店街】

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壁に取り付けられたホワイトボード。さまざまなやり取りが交わされていて、見ているだけでも気持ちが“ 道くさ ”できる

 愛知県名古屋市、名鉄名古屋本線本笠寺駅前に位置する笠寺観音商店街で、“壁”を介したユニークなコミュニケーションが生まれている。ビルの外壁に取り付けられた、縦0.9m×横2.7mの「壁コミュニケーション」と名付けられたホワイトボード。そこには、道行く人々が描いた絵やおすすめのお店の紹介、時には、「来週結婚式です!」との書き込みに対し、「おめでとう!!」「ケンカするなよー」「幸せになれよー!!」とたくさんのコメントが添えられ、顔が見えない中でも温かな交流の輪が広がっている。

 これは、昨年の10月16日から11月14日(平日16時~20時、休日11時~18時)まで実施された「笠寺道くさ社会実験」のアイテムの一つだ。この社会実験の主催は、かんでらmonzen亭(商店街や町内会、笠寺好きの人たちで組織されるまちづくりの会)と地元出身の建築家宮本久美子さん。閉業する店の増加やコロナ禍で来客の減少が課題となっていた同商店街。そこで、駅前100mの通りに立ち寄りたくなる“道くさアイテム”を展開し、人の流れを生みだすことでにぎわいにつなげようと考えたのだ。

 企画した宮本さんは、「対象はこの通りを日常的に使う人たち。なので、道沿いに出店していわゆるイベントっぽくするのではなく、シャッターが下りた店の軒先や壁などを使い、普段の街の風景に溶け込むようにアイテムを配置しました」と説明する。設置されたアイテムは4つ。コーヒーや雑貨などの出店が日替わりで楽しめる「軒先ワゴンshop」、名古屋市図書館の本を閲覧・借りることのできる「ヤドカリBOOKワゴン」、既存のベンチに植物を添えてリデザインした「植栽ベンチ」、そして前出のホワイトボードへの書き込みが楽しめる「壁コミュニケーション」だ。

 実験開始後の1ヶ月間、仕事帰りにふらりと立ち寄る人、それぞれ気に入った本を読む親子連れ、コーヒーを飲みながら談笑する人々の姿などが見られ、多くの人が“道くさ”を楽しんだ。特に「壁コミュニケーション」の利用は活発で、一人の書き込みで終わらず、誰かが書いた絵やコメントに対してまた別の誰かが書き足していくといった、交流の軌跡があちこちに。コロナ禍でイベントや対面での接客が制限される中でも、商店街には「こういった交流の場が大切」と、設置を継続することとなった。

「笠寺道くさ社会実験」の様子

 この社会実験がもたらした成果はこれだけではない。ここで出会った人々が意気投合し、まちづくり活動への参加や新たな居場所づくり・店舗づくりのプロジェクトが立ち上がっているそうだ。また、期間中に実施したアンケートで「夜は真っ暗で寂しい」との声が多かったことから、シェアキッチン「かさでらのまち食堂」で1月から夜カフェの営業もスタートしたという。

「今回の社会実験を通じて、会議ではなく雑談の中からこそ、新たな動きというものが生まれるんだと実感しました。『壁コミュニケーション』のように気軽に交流できる場を、今度は、直接人々が出会える場をつくり実現していきたいです」と、宮本さんは次なる一歩を踏み出そうとしている。

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