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活性化事例

商店街の若い力を育てたい!

商人塾

人材育成・組織力強化

事業名 商人塾支援事業
商店街名 高知県商店街振興組合連合会(高知県高知市)

平成30年度実施の「商人塾支援事業」の事例を紹介。地元の誇り「よさこい祭り」の存続をかけて、商店街の若手育成に乗り出した高知市中心市街地の取組み。

商人塾最終回での卒塾発表の様子。商人塾で得た学びや、商店街としてこれからチャレンジしたいことなどを塾生がプレゼンした

祭りで生まれた危機意識 そして商人塾開催へ

商人塾支援事業を通して、次世代の人材育成に取り組む高知県商店街振興組合連合会(以下、県振連)。その取組みのきっかけとなったのは、毎年8月に開催され、全国から多くの見物客が訪れる「よさこい祭り」だった。祭りの競演場の多くは商店街の中に設けられているが、数年前、資金とマンパワー不足により、そのひとつが存続の危機に陥ってしまったのだ。県振連は、そこに高知の中心市街地の商店街が抱える根本的な問題を見出し、解決に向けてのアクションを起こす。

まずは現状を把握するため、2017年度に組合加入の690店舗を対象とした大規模アンケートを実施。その回答から、売上減 少や店舗・顧客の高齢化など、商店街のさまざまな問題が浮かび上がった。なかでも、商店街 組織において、役員を担う若手不足は深刻な状況だった。

そこで県振連は、商店街の中 ・長期支援方針を策定。中期(3年間)の商店街支援基本方針として定めた4項目のうち、ひとつを「次世代リーダー育成」とする。そして、活性化の手法を学びながら若手同士のネットワークが構築できる「商人塾」の開講を決めた。

人材を掘り起こし相互理解の場をつくる

商人塾の開講にあたり、「いかに若手を呼び込めるか」は最初にして最大の関門である。県 振連の理事や青年部長たちは、全商店街を回り、若手一人ひとりに商人塾開催の理由を説き、参加を呼びかけた。その結果、市街地の12の加盟商店街のうち、11の商店街から20〜40代を中心に参加者が集まった。

こうして、10月上旬から約2か月間開催される商人塾の核を成す塾生23人が決定。注目すべきは、このうちの9人が、今まで商店街の活動に参加していなかったという点だ。まさに、新しい人材が掘り起こされたのである。不定期参加のメンバーや高知大学の学生なども加わり、最終的には 36名もの塾生が誕生した。

県振連は、商人塾から 最大限の成果を得るため、運営に工夫もこらした。その主なポイントは、(1)互いの商店街のことを 知るために、全7回の研修会場を毎回変える。(2)塾生同士のコミュニケーションを促すために、研修にディスカッションの時間を多く組み入れる。(3)地元の大学生の参加も奨励し、今後の商学連携の第一歩とする。の3点だ。

経営のノウハウや心構え、インバウンド対策、SNS活用術など、研修で多くのことを学びながら、塾生たちは、運営サイドの狙い通り、相互理解を深めていく。そして、自分たちの商店街が抱える問題や活性化への方策などについて、忌憚のない意見を交わすようになっていった。研修以外の場でも自主的な交流会が開かれるなど、この商人塾で生まれたつながりは、確実に育まれていった。

塾生同士の活発な交流が 新しい息吹を生む
高知県商店街振興組合連合会事務局長の宮﨑重人さん。若手が興味を持ちやすい商人塾の運営を心掛けた

●「他所が真似したくなるようなイベントを、各商店街同士で力を合わせて行い、足を運びたくなる街にしていきたい」(はりまや橋商店街 山本さん)
●「塾を通して、自分にできることは何か考えた。自分の店を繁盛店にすることが第一歩」(京町・新京橋商店街 坂東さん) 
●「商店街を大人の遊び場にしたい。〝商店街内でF1レース〞など、ここで出た突拍子もないアイデアを否定せず、どう実現できるかを考えていけばそこに活性化の道があるのでは」(菜園場商店街   岡本さん) 
●「自分たち若い世代が中心となって、新しい取組みを行っていきたい。学生をもっと巻き込み、この地域に興味をもってもらうことも大切」(帯屋町一丁目商店街  廣末さん)

など、研修の最終日(第 7 回目)に塾生たちが発表した卒塾論文は、どれも商店街の新たな可能性に富んだものだった。

「実は、塾生の中には、〝商店街はもうだめだ〞と強く感じていたメンバーもいたんです。でも、意見を共有していくうちに、皆で力を合わせれば活路があるかもしれないと、少しずつポジティブな方向へと向いていった。塾生同士のディスカッションは非常に意義があったと思います」と、県振連の事務局長で、商人塾の運営を担当した宮﨑重人さんは語る。

高知市商店街振興組合連合会青年部会長の堅田佳嗣さんも、成果を噛みしめる。「青年部の会合では、メンバーが固定化しており議論も想定内の結論に終わることが多い。でも商人塾では、フラットな関係の中で今まで聞いたことのないような意見がどんどん出てきて新鮮で、大いに刺激を受けまし た。これらの意見を青年部の活動にも反映したい」
堅田さんの言葉通り、次のステップは商人塾で得た横のつながりやアイデアを、いかに現実に落とし込んでいくかだろう。

若い世代が中心となり、土佐が生んだ幕末の英雄・坂本龍馬の名言のごとく、「高知の商店街を今一度洗濯」する時は、近い。

商人塾最終回の出席者一同。市役所の若手職員や大学生も仲間だ。この日は県振連の理事長・廣末幸彦さんも出席し、若手の発表に耳を傾けていた。“親世代”からの大きな後押しが、今回の商人塾の成功に結びついている

★この記事は、商店街活性化の情報誌「EGAO」の2019 Spring(春号)に掲載されています。
「EGAO」をご覧になりたい方はこちらへ。

商店街活性化の情報誌「EGAO」

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