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来街者目線で街の価値を再認識。観光のハブとして新たに発信!

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商店街名 ぬまづみなと商店街協同組合/静岡県沼津市

豊富な魚介類が水揚げされる沼津港は、年間約165万人が訪れる観光地。コロナ禍に直面するなか、その港の商店街が行った取組みが、「富士・箱根・伊豆のへそ 沼津港MAP」の制作だ。店主自らが撮影・取材・編集を行ったガイドブックには、従来の観光マップにはない地域の魅力が詰まっている。

顧客目線・当事者意識で地域を超えたマップに発展

 ぬまづみなと商店街協同組合は、もともとは仲買人に向けて供される定食屋や寿司屋などの飲食店が中心となって組成された団体だ。ここ20年ほどは沼津の一大観光地として栄えてきたが、’20年4月、緊急事態宣言を受けて首都圏からの来客が著しく減少した。各店舗は通販事業やテイクアウトなど策を講じたものの、観光を生業とする商店街は大きな痛手をこうむる。

 そんな折、アメリカン・エキスプレス社の地域貢献助成金の情報をキャッチ。それを使って、来街者に喜ばれるような企画を立てようと組合の意見は固まる。理事長の後藤義男さんには、ひとつの狙いがあったという。

「これまで、商店街の案内マップを年間10万部発行していました。このマップには港歩きに必須の情報が掲載されていますが、観光客が増えるにつれて、ある要望が多くなってきたんです」
 それが、〝周辺地域の回遊〞だ。副理事長であり今回のマップ制作の編集長を務めた原田武虎さんが言葉を継ぐ。
「お客さんから、『沼津は富士や箱根も含めたこのあたり一帯の中心だから』という声をいただいて。確かに、近隣の観光スポットのちょうど真ん中あたりに位置しているんですね。そこで、顧客視点に立って、視野を広くして、港だけじゃなくて周辺地域全体を楽しめる企画を立てました」

店主たち自ら制作した誌面は、「王道三大ウォーキング」「海浜と日帰り温泉」「夜討ち朝駆け沼津港」「富士山ドライブ」「素敵カフェと雑貨店めぐり」などバラエティ豊かなコンテンツ

 かくして、沼津港を富士・箱根・伊豆エリアの中心=へそとして捉え、周辺観光地の魅力とともに発信することで方向性が決定。制作スタイルは、ページのほとんどの取材・撮影・執筆を商店街メンバーが担うことにした。

「もちろん、外注すれば楽だったと思います。でも、当事者として私たち自身がつくる、というプロセスを大事にしたかった。結果、すごくやりがいのある時間となりました」(原田さん)
 編集メンバーは、「MAP製作委員会」事務局長を務めた金子恭子さんの呼びかけで集った有志10人。取り上げたい情報を各店舗よりアンケートで収集し、会員の参加意識を高めた。

ディープな情報が商店街内外で反響
左より後藤さん、金子さん、編集メンバーの蒔田さん、原田さん
にぎやかな声が響く商店街。定期的にアンケートをとり、ニーズのキャッチアップを行うことで新しい取組みにつなげている

 取材期間はわずか一ヶ月。店主たちは業務の合間を縫い、実に100カ所もの場所や店を回った。その仕上がりは、〝素人〞とは思えない完成度だ。港の人気メニューや日帰り温泉など定番スポットを押さえつつも、釣りや絶景スポットなど地元住民さえ知らないようなディープな情報がてんこもりだ。

「商店街以外にはできなかった冊子だと自負しています。なぜなら、行政だと自治体が縦割りで横断的に動けない。出版社だと、ひとつの地域だけでも売上が立つため、地域ごとに冊子が発行される。自由な立場の我々だからこそ、広くエリア全体の魅力を捉えることができました」(原田さん)

 また、各ページに商店街の店主たちの顔写真がちりばめられているのも工夫した点だ。

「やはり、顔が見えることでお客さんは安心できますから。意外な効果として、商店街内でお互いの存在を意識することも増えて。あいさつを交わしたり仲間意識が強まったと感じています」(金子さん)

 マップは’20年末に1万部を発行するも、またたく間に評判を呼び残り部数はわずか。この反響に手応えを得て、組合は次のステージを見据えている。 「このマップにより、単体の観光地ではなく、周辺の地域とともに力強く成長していくというメッセージを発信できました。マップの改訂版や、地域間で連携したイベントなど、沼津がハブとなっていくためにさまざまな取組みを行っていきたい」と意気込む後藤さん。コロナ禍で苦しい今だからこそ、街の新しい可能性を力強く描いている。

★この記事は、商店街活性化の情報誌「EGAO」の2021 Spring(春号)に掲載されています。
「EGAO」をご覧になりたい方はこちらへ。

商店街活性化の情報誌「EGAO」

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