事業名 | トータルプラン作成支援事業 |
---|---|
商店街名 | 舘山寺温泉門前通り振興会/静岡県浜松市 |
かつて、静岡県内の温泉地として熱海と並び称された舘山寺町。だが近年、観光のスタイルが変わり、旅館からの人の流れが激減。コロナ禍もあり商店街は窮地に立たされる。そんな状況を打破すべく、有志たちが立ち上がる。その第一歩が、トータルプラン作成支援事業だった。
行政、事業者、住民が入り交じり、顔ぶれはさまざま。こうして一堂に会するのも近年では珍しかった
浜名湖のすぐそばにあり、豊かな食に温泉やテーマパークもある。そんな恵まれた資源を自分たちは活かしきれていない―舘山寺温泉門前通り振興会会長の山崎暁史さんは、歯がゆい思いを長年抱いていた。
「私はUターン組。一旦外に出たことで改めて街の魅力に気づいたのですが、ずっと地元にいる方には当たり前すぎて、それが宝だとは気づき難いんです」
かつてこの地域では、旅館の集客力が絶大で、商店街は、旅館から流れてくる客を受けるだけでも商売が成り立っていた。しかし今は、状況が異なる。商店街が自発的にアクションを起こし、個人客をターゲットに、この街の魅力をアピールする必要があり、そのためにも、商店街のメンバーがその魅力に気づくことは必須なのだ。
そう考えた山崎さんは、長年他地域でまちづくりに携わってきた経験をもつ鈴木伸忠さんとともにトータルプラン作成支援事業の「1日体験コース」の実行を決める。目的はひとつ、〝みんな〞で議論をすることだ。
「他の商店街からは笑われるかもしれませんが、飲食店が多いこともあり、昼も夜も時間が合わず、商店街のメンバーで定期的に集まることすら難しかった。こうして支援事業を活用することで、まずはスタート地点に立ちたい」
今回の〝みんな〞には、商店街の他に、街のファンや自治会、旅館業や観光協会も含めることに。「オール舘山寺」で議論し、街の未来を描くことが、新しい舘山寺の第一歩と信じたからだ。
そして研修当日。「どれだけ〝みんな〞が集まってくれるのか」という山崎さんの不安とは裏腹に、さまざまな立場から25名もが参加。参加者は4つのグループに分かれ、講師のファシリテーションのもと街の強みや弱みを出し合った。グループごとの発表では、「風光明媚な景観」や、「ファミリー向けの場所の多さ」など、街の魅力が次々と挙げられていった。
わずか2時間の研修だったにもかかわらず実に多くの魅力が掘り起こされ、山崎さんは、「改めて、こんなにいい街なんだと全員が気づけた」と喜びを隠しきれない。研修が終わっても議論を続ける者もあり、会場には熱い余韻が残った。
次のステップは、街の魅力をどのターゲットに向けて発信していくかを決めること。目指すところはみんな同じと、コンセンサスも十分に取れた。舘山寺は、地域が一丸となって自らの魅力を打ち出していく。
この支援事業について詳しくは トータルプラン作成支援事業
★この記事は、商店街活性化の情報誌「EGAO」の2021 Spring(春号)に掲載されています。
「EGAO」をご覧になりたい方はこちらへ。