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活性化事例

店主が自主的につながり、アイデアがあふれ、新たな街の魅力が生まれる

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商店街名 鹿沼市内の商店街・鹿沼商工会議所/栃木県鹿沼市

鹿沼市の商店街の店主たちは、研修会やまちゼミの実施を通して年々連帯感を高めてきた。そのつながりがもとになり、街の可能性が広がっている。商工会議所のサポートが頼もしい。

店主の着想から生まれた地域の新しい魅力
鹿沼商工会議所 水越啓悟さん
「店主のみなさんと協力し、鹿沼の商業をさらに盛り上げていきたいです」
ユネスコ無形文化遺産「鹿沼秋まつり」。日光東照宮の匠の技を後世に伝える

 日光林業地帯の要として古くから木工を中心に「ものづくりの街」として発展してきた鹿沼市。絢爛豪華な彫刻屋台が練り歩くユネスコ無形文化遺産の「鹿沼秋まつり」や地元名産をかけ合わせた庶民の味「ニラそば」が有名なこの土地に、近頃新しい魅力が誕生している。

 それを生み出す主な原動力は、この街に店を構える店主たちと商工会議所だ。店主たちは頻繁に集まって話し合い、そこで生まれたアイデアが、商工会議所のサポートのもと実現化されている。

 たとえば、’16年7月から12店舗で販売が開始された「サラダそば」。もともと商工会議所が’14年に実施した地場野菜を活用するドレッシング開発の勉強会で、「そばに野菜を合わせてドレッシングで食べてはどうか」というある店主のつぶやきから生まれた鹿沼の新名物だ。地元そば店の店主たちが中心となり試食会を何度も繰り返し、各店舗独自のサラダそばをつくり上げた。この取組みは、’18年、県の商品開発のコンテストで優秀賞にも選ばれる。

 また、’15年からは自転車好きの店主たちのアイデアを商工会議所がとりまとめ、「サイクリングツーリズム」の取組みも始まった。ヒルクライムの聖地と呼ばれる鹿沼郊外の清流沿いでサイクリングを楽しむ人々を、店主たちがおもてなしするというコンセプトで、サイクリストを市内の個店へと誘導する仕組みをつくった。今後はこの取組みを発展させ、自然豊かな鹿沼を、サイクリングも含めたアウトドア全般を楽しむ街として個店もアピールしつつPRしよう、という構想もあるという。

街と個店を盛り立てるふたつの取組み

鹿沼の特色を活かして、個店の魅力も伝える「サラダそば」と「サイクリングツーリズム」の取組み。ふたつを組み合わせて“走って、食べて、鹿沼を楽しむ”新しい観光スタイルが提案されている。

PICK UP1  サラダそば
地元の食材を使ったサラダそば
上)鹿沼グルメの王道、ニラそば。サラダそばは、どこまで迫ることができるか。下)店先にはサイクルスタンドも

’14年に行われたドレッシング開発の勉強会で、そばに地場野菜を合わせてドレッシングで食べてはどうかという発想が生まれたことから、翌年にサラダそばの開発がスタート。地元そば店の店主たちが集まり、試食会を何度も繰り返しながら各店舗オリジナルのサラダそばを創作した。’16年7月には、12店舗で提供を開始。以後も試食会を重ね、現在は14店舗で販売している。志を同じくする店主たちが、組織を問わずに自らの意志で集まり、互いにアイデアを出し合い刺激し合いながら、鹿沼の新名物をつくり上げた。

PICK UP2 サイクリングツーリズム
上)「天狗の逸品」と称し、サイクルスタンド設置店のお勧めの一品を紹介。下)サイクリングコースの各所に設置されている距離パネル

自転車好きの店主らの着想を商工会議所がとりまとめ、自然あふれる鹿沼の郊外でサイクリングを楽しみつつ街中も回遊してもらう仕組みづくりに着手した。’15年に県の事業「とちぎ未来チャレンジファンド」を活用し、実行委員会「鹿沼自転車応援団」を結成、サイクルスタンドと看板を制作し市内の飲食店と物販店に設置。’16年には、スタンド設置店がサイクリスト向けにお勧めする商品(逸品)を掲載したサイクリングマップを制作・配布。マップはリニューアルを重ね、英語版とベトナム語版も発行している。

研修会とまちゼミ開催で活性化の速度が加速

 この新しい魅力づくりへの動きは、高齢化や隣接都市への消費者流出などが原因で衰退傾向にあった市内の商業活動を活性化させようと、商工会議所がここ数年研修や話し合いの場を頻繁に設けてきた成果の現れだ。

 たとえば支援センターの事業においても、’13年のまちゼミ研修事業を皮切りに、店主たちは6年間複数の研修事業に取り組んできた。それと並行して’14年1月からはまちゼミを継続的に開催、研修との相乗効果で、「みんなで鹿沼の街と商売を盛り上げよう」と気運が醸成されていった。 
 研修事業は、商工会議所にも好影響をもたらしたという。鹿沼商工会議所の水越啓悟さんは、「講師の話の進め方を身近で学ぶことができたことで、自分自身のファシリテーターとしての力がアップしました。研修以外の場でも商業者の皆さんの声をうまく拾うことができるようになったんです」と話す。こうして培われた土壌から、最近さらに新しいビジネスの芽も育っている。

サロンドヌーヴォー 小林 靖さん
「今後は店をチャレンジキッチンやレンタルスペースとしても機能させ、創業者の支援もしっかり行う予定です」

 ’18年にトータルプラン作成支援事業の研修で、「空き店舗対策」を今後取り組むべき課題と定めた店主たち。’19年から県の事業を活用し、新規創業者をサポートする方策を検討しながら、「自分たち自身でも創業してみたい」と思うようになっていった。そんな折、コロナ禍に突入。店主たちは団結し、地元の病院を支援するために医療用ガウンを製作する。すると、思わぬ収益が生じた。そこで、それを元手に’20年11月、共同運営の串カツ店を開店したのだ。  
 店主たちがつながり、可能性がぐんぐん広がる鹿沼。今後の動きに目が離せない。

さまざまな研修を糧に活性化の可能性が花開く

’13 年のまちゼミ研修事業に始まり、数々の研修を行ってきた鹿沼の店主たち。貴重な学びの経験を、さまざまな取組みに活かしている。

2014年〜 まちゼミ開催

店主たちの結束力UP

個店の魅力を伝えて来店客を増やす取組み
「まちゼミ」を、’14年から年2回継続開催。
この取組みを通じて店主たちは絆を深めていく。
現在市内の約20店舗が参加

2019 年〜 創業・開業を応援

空き店舗をなくす取組み

空き店舗対策を軸に、創業・開業・起業を応援。広く周知するため、
商店街のポールにフラッグを設置して見える化。
この他、市内で行われるイベントもフラッグで告知している

2020年5月 医療用ガウン製作

コロナ禍の医療機関に貢献

コロナ禍の影響で、市内の上都賀総合病院にて医療用ガウンが不足。
相談を受けた商工会議所が、まちゼミの仲間である店主たちに話を持ちかけ、
みんなで協力して2000着を製造・納品した

2020年11月  串カツJu-Soオープン

新たなビジネスに着手

医療用ガウンの報酬を元手に、
店主の有志が空き店舗を活用して鹿沼で初の串カツ店をオープン。
現在は8名で共同運営。食材はまちゼミの仲間の店から調達している

他にも生まれた活性化の取組み

2018 年・オープンファクトリー

ものづくりの街である特性を活かし、
工場をはじめとする製造業の現場を開放。
普段見ることのできない職人技やクラフトマンシップに触れられるイベントとして、多くの見学者が訪れる

2020 年・シウマイ事業

崎陽軒の初代社長である野並茂吉さんが鹿沼市出身という縁を活かし、
東京藝術大学と連携して「かぬまシウマイ」でまちおこし。
個店でのメニュー開発、シウマイ像の設置などを計画している

※シウマイ事業についての詳細はこちらをご覧ください
(商店街ニュース2021.6.29配信)

2020 年 テイクアウト&デリバリー

コロナ禍で厳しい状況に立たされた飲食店を応援するため、
商工会議所がテイクアウト&デリバリーのお店を特集したチラシを作成・配布。
日頃のつながりが緊急時に活きる

これらの取組みのベースとなった支援センターの事業

まちゼミ研修事業

まちゼミ開催を目指し、’13年にまちゼミ研修事業に取り組む。
その後、’16年まで同事業を継続実施し、まちゼミの内容をブラッシュアップした。

繁盛店づくり支援事業

’16年には繁盛店づくり支援事業の実践コースに取り組み、
個店の魅力アップのノウハウや知識を商店街の店主たちで共有した。

商人塾支援事業

’17年に商人塾支援事業を活用。「商業を核とした持続可能なまちづくり」をメインテーマに、
全8回のカリキュラムで連携や体制づくりについて学んだ。

トータルプラン作成支援事業

’18年のトータルプラン作成支援事業では、ワークショップ形式で活発な議論を行い、
今後取り組むべき課題として「空き店舗対策」を選択した。

★この記事は、商店街活性化の情報誌「EGAO」の2021 Spring(春号)に掲載されています。
「EGAO」をご覧になりたい方はこちらへ。

商店街活性化の情報誌「EGAO」

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