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コロナ禍というピンチをチャンスに変えるために

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特集 「EGAO 2020 Autumn」特別インタビュー

EGAO2019年秋号「逆境からの第一歩」で、
商店街の可能性や今後の展望について幅広い視点から語っていただいた『ソトコト』編集長の指出一正さん。
今回は、コロナ禍という突発的な“逆境”を前に商店街が取るべき道や地域再生について提言!
いわく、「コロナ禍は、変化のトリガーだ」。

指出一正さん 
PROFILE:’69年群馬県生まれ。雑誌の編集を通して、日本全国の地域活動の見聞を広め、自身も島根県「しまコトアカデミー」など、
地域のプロジェクトに多く携わる。内閣官房まち・ひと・しごと創生本部「わくわく地方生活実現会議」委員など歴任。

Q1. コロナ禍は、 地域にどんなインパクトを与えていますか?

A. 自分の街に関心を持つ人が増え、商店街には追い風な部分も。

 都心に住む人々の、地方への関心はとても高まっています。職場への通勤がなくなり、自宅での時間が多くなってきたことで、改めて理想的な暮らし方を考える人が増えてきたのでしょう。その結果、自然が豊かで都心にもさほどアクセスの悪くない地域は人気が出ていますね。

 それでは、実際に地方に住む人々はどうか。全国各地を取材していて感じるのは、これまでよりも自分の住む地域と楽しみながら向き合う人が増えていること。それもあってか、地域づくりのプレイヤーの年齢層がどんどん広がっているんです。

指出さんが編集長を務める『ソトコト』も、オンラインサロンを開始。地域づくりの現況を肌で感じられ、若い世代の受講者も多い

 先日も、中高生による地域創生のオンラインイベントに出演したのですが、参加人数の多さにびっくりしました。これまでは地域に関心を持つ世代は20~40代がメインでしたが、10代にまで広がっている。
 彼らの話を聞くと、実に前向きに地域づくりをやっているんですね。自分の興味や視点をしっかりと持って、そこにより多くの世代を巻き込もうとしているのがよくわかる。コロナ禍によってそれがますます増幅された感じがします。
  つまり、あまり遠くへ出かけられない状況で、自然と自分の街の面白さを探すようになった。もともと地域づくりでは、自分の住む街をミクロの視点で見ていくということが欠かせません。その地域の“発見力”が、楽しみながら磨かれている気がします。

 中高生はSNSなどの発信にも長けていますから、彼らが自分たちの街のことを自主的に発信し始めたのは、とてもいい傾向だと思いますね。かねてより私は、街の日常の魅力を紹介できる「関係案内人」が大切だと話してきました。それを発信力の高い中高生に任せてみるのも一案です。
 この流れは商店街にも追い風です。街の魅力的なコンテンツとして、商店街が“発見”されやすくなるからです。

Q2. インバウンド向けの業態が取り組むべきことは?

A. “マイクロショッピング”を意識してチャレンジを。

インバウンドでにぎわう宇治場祖通り商店街もコロナの経験を経て地元視点に

 インバウンド向けのラインナップで成長してきたお店や商店街は確かに苦しい状況にあるかもしれません。しかし、そもそも15年前にはインバウンドという言葉も需要も、そこまでありませんでした。それまではどの商店街も国内向けの目線で商売をしていたわけです。いずれ外国人観光客は戻ってくると思いますが、それまではかつてやっていたように内需を掘り起こしていく。お客さんのニーズの変化を見つめて、人を呼び寄せる手段を再検討する。手探りでもまずはじめてみましょう。  
 
 星野リゾートさんが、新しい旅のスタイルとして、地元や近隣地域の魅力を改めて知って楽しむ“マイクロツーリズム”を提唱されていますが、商店街が打ち出すべきは“マイクロショッピング”。地元商店街での買い物が楽しい、と思える仕掛けが大切になりそうです。

Q3. テイクアウト営業のメリットとは?

A. “ラスト5m”の壁を越える。

お弁当を一堂に集めた盛岡大通商店街の「お弁
当パラダイス」の様子

 今はモノより人の時代。だからこそ、店主が店先に出てお客さんとコミュニケーションを取るくらいの距離感がいい。でも私は以前より、商店街には、店主が一番奥にいて人柄が見えない店が多いと思っていました。客と店主との“ラスト5m”の壁です。

 この距離が、最近ぐっと縮まってきたのではないでしょうか。コロナ禍で多くの店が取り入れたテイクアウト営業で、店の人が店先に出て商品を並べて売る姿を見て、そう感じています。

 ちなみに、利用者にとってテイクアウトは店を知るいいきっかけになります。私も、「気になっていたけどなんとなく利用していなかった」という店の味を、気軽なかたちで体感することができました。

Q4. デジタルの活用方法として、 どのようなかたちが考えられますか?

A. オンライン商店街からリアルへ誘客も。

“泊まらない宿泊施設”として話題を集めた「WhyKumano Hostel&Cafe Bar」

 オンライン会議など、これまで有益なのはわかっていてもなかなか取り組めなかったデジタルツールが、コロナ禍によって一気に広がりました。そしてそれは、新しいビジネスの“芽”につながります。商店街ではないのですが、和歌山県那智勝浦町にあるゲストハウス「Why Kumano Hostel & CafeBar」のオンライン宿泊は、施設案内や周辺の観光スポット紹介、参加者との交流など、旅先での出会いをウェブ上で疑似体験できるサービスです。これが大盛況で、「コロナが収束したら、絶対に泊まりに行きます」という声が多数寄せられています。

 商店街でも、たとえばオンライン商店街をつくり、店主たちや街の魅力を発信していけば、今まで接点がなかった方も「いつかここに行こう」と思ってくれるきっかけになり得るのでは? 商店街がデジタルに弱いのであれば、先(Q1)で言ったように中高生など含めてデジタルネイティブの世代と協力しても良い。オンラインからリアルに人を呼び込む流れは、今後重要になると思います。

Q5. リアルな場所としての商店街や個店には、どのような可能性がありますか?

A. 隙間も活用し、新たな変化の導火線に。

石橋商店会では学生たちが商店街の一角を活用中  

 まず、地域に関わりたいと思っている人たちが一番欲しいのは自分たちが使える“空き部屋”。街の魅力を発信したり、イベントを企画したりできる場所です。でも、そうした場所は普段はなかなかないのが実情でしょう。そこで、コロナ禍で街が静かな今こそ商店街が持つオープンスペースを提供してみてはいかがでしょうか。

 また、静岡県藤枝市にあるお店「低糖質おやつとコーヒーLocco」は、3坪ほどの小さなカフェスタンドで営業していました。その場所が変わっていて、地元で古くから続く洋品店「キリンヤ」の片隅を間借りしていたのです。業態をシェアするショップ・イン・ショップの考え方ですが、こうした小さな変化を積み重ねていくと、街の景色は変わっていくでしょう。

 私自身、自粛期間中は地元の商店街を歩くことが多くなり、たくさんのワクワクする発見がありました。商店街の持つ資源を今一度見直してみると、きっとまだまだアイデアは出てくると思います。コロナのインパクトは甚大ですが、商店街の今後を考えるいい機会だと捉え、みんなで議論し行動することが大切でしょうね。

★この記事は、商店街活性化の情報誌「EGAO」の2020 Autumn(秋号)に掲載されています。
「EGAO」をご覧になりたい方はこちらへ。

商店街活性化の情報誌「EGAO」

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