事業名 | 繁盛店づくり支援事業 |
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商店街名 | 花火通り商店街/秋田県大仙市 |
コロナ禍により、客足が激減、1年で最もにぎわう花火大会も中止に。急激な商環境の変化に直面する花火通り商店街では、新たな魅力を創出しようと全国商店街支援センターの研修事業に取り組んだ。研修を通じて真摯に店づくりに向き合い、商店街は前進する。
店頭での成果発表の様子。研修参加者が、コラボレーション実施者の店舗を見て回り、成果や課題を共有。
「おこめのさわた」は、わかりやすさを意識したギフトの展開やディスプレイに工夫が光っていた
秋田県大仙市大曲は、日本三大花火大会のひとつ「全国花火競技大会(通称・大曲の花火)」の開催地だ。毎年8月、人口8万人の同市に80万人もの見物客が訪れるという大曲の花火は、玄関口JR大曲駅に隣接する花火通り商店街にとっても、1年で最もにぎわう〝書入れ時〞だ。
しかし’20年春、新型コロナウイルスの感染拡大で、外出制限や営業自粛、さらには花火大会の中止が決まり、商店街の売上は激減。〝新しい生活様式〞も取り入れられ、商環境が著しく変化した。
「収束には数年かかると言われるなか、花火のようなイベント頼みの商売では厳しい。オンラインの強化も大事だが、店に来てくれる地元のお客さんに、もっと〝リアルな買い物〞を楽しんでもらいたい。そんな思いもあり、研修実施を決めました」
そう話すのは、花火通り商店街会長の黒澤輝さん。同商店街では、以前から全国商店街支援センターの「繁盛店づくり支援事業」を活用し、個店の魅力づくりを基盤にする地域活性化の取組みを行ってきた。今回は、これまでの学びや実践を再確認しながら、新たな魅力を見つけたいと「商環境変化対応コースコラボレーション編」に参加。4店舗がコラボレーションを実施した。
7~9月の3ケ月間で、計3回の全体研修・公開臨店研修を実施。回を重ねるごとに次々と新しいアイデアが飛び交うなど、商店街全体でコラボによる商売の可能性を広げていった。
’20年9月に開催された第3回研修では、参加店舗による成果発表と意見交換が行われた。
コラボを実施した4店舗はもちろんのこと、他店からも前向きな意見が多数飛び出し、商店街全体の意欲の高まりが感じられた。同商店街は、今後他4の研修へも希望している。
逆境でも前を向き続ける店主達の眼差しは、夜空を照らす花火のように、まちの未来を灯し続けることだろう。
コラボレーションの仕方が分からず最初は戸惑ったが、黒澤会長の「店にあるものを活かせばいい」というアドバイスで、秋田産米と秋田の銘酒を組み合わせることに。観光客の減少に対応し、土産品としてだけでなく、コロナ禍で帰省できない人に贈るギフトとしても提案し、地元客にアピール。
婦人服店「Konno」とのコラボレーションで、商品の眼鏡や時計、アクセサリーを洋服と合わせて展示。その日のファッションや季節に合わせた眼鏡選びなどトータルコーディネートを提案し、女性客へのアピール強化を図った。Konno の顧客が来店するなど、新たな顧客の共有も。
フォーラムで始まった商店街同士の交流をきっかけに、新潟市の「hana *kiku」とコラボレーション。秋田杉と佐渡かやの香りをブレンドしたアロマウォーター「ナチュラルミスト」を共同開発した。マスクスプレーの需要もあり、スタートは好調。今後は香りのバリエーション展開なども構想中。
小豆を使った銘菓「三杯もち」と、若者に人気のカフェ「Cafeビーコロ」のドリップパックコーヒーとをセットで販売。「和菓子にコーヒー」という組み合わせを提案し、若年層へのアピール強化を図った。店頭ではカップ&ソーサーとともに三杯もちをディスプレイし、新たなコラボを演出。
この支援事業について詳しくは 繁盛店づくり支援事業
★この記事は、商店街活性化の情報誌「EGAO」の2020 Autumn(秋号)に掲載されています。
「EGAO」をご覧になりたい方はこちらへ。