商店街名 | にこにこ星ふちのべ商店会/神奈川県相模原市 |
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9月20日、JR淵野辺駅の北口にはにぎやかな声が響いていた。この日は「ふちのべ街中テラス」の3回目の開催日。7月から店舗前の路上活用などを先んじてトライしてきた、にこにこ星ふちのべ商店会が主催するこのイベントは、商店街や地域に元気をもたらしている。
駅の出入口につながる高架下で、多くの地域住民が飲食を楽しんだ。SNSで情報を知った人も
JAXA(宇宙航空研究開発機構)のお膝元であり惑星探査機「はやぶさ」にちなんだグッズ展開や、近隣大学と連携した月1回のナイトバザールなど、常に話題を振りまいてきたにこにこ星ふちのべ商店会。そんな彼らが開催した「ふちのべ街中テラス」(以下街中テラス)は、商店街のアーケードの店先にテラス席を設け、飲食や買い物を楽しんでもらうイベントだ。きっかけは、国土交通省が6月に出した「道路占用許可の緊急措置」。このコロナ禍で苦境に立たされた飲食店などが、歩道を利用したテラス営業を行いやすくするために、道路の使用許可基準を緩和したのだ。
「情報を聞いてすぐにイベントを開こうと考えました」
そう話すのは、商店会の会長を務める萩生田康治さん。その背景には、商店街の苦境があった。コロナ禍以前は学生街としてにぎわいをみせていたが、大学がリモート授業へ切り替えたことで、飲食店を中心に大きな打撃を受けていたのだ。そんな街に活気を取り戻すための一手として、国の発表からわずか一ヶ月後の7月下旬、神奈川県初の試みとなる「街中テラス」を開催。飲食店10店舗が参加したほか、萩生田さんの営む呉服店なども店先で商品を販売した。
「久しぶりのイベントとあって、地域の方々にも好評をいただきました。商店会としても、こうして何かアクションすることが、加盟店のモチベーションにつながると実感しました」
そうして、8月に開催した2回目は13店舗に増え、内容もテイクアウト商品の充実を図るなどブラッシュアップ。取材当日の3回目はさらに規模を拡大し、昼は駅前広場で飲食を楽しみ、夜からはテラスが出るという2段構えの内容となった。
「この特例は、アーケードに面していない店は対象にならない。でも、奥まった所にある店にも参加してもらいたいと考え、今回イベントを駅前広場に拡大して出店してもらいました」
こうして、常に企画を検証・改良し、関わる店舗や人を増やすことで、イベントをみんなのものにしていった。
「街中テラス」は店舗だけではなく、地域住民たちも積極的に参加している。たとえば今回も出店し、JAXAとのコラボ商品販売や子ども向けの企画を行っていた商店街公認の応援団体「ふちのべ星援隊」は、「淵野辺を応援したい」という想いから結成された純然たる地域住民の集まり。日頃から商店街は彼らと一緒に地域活動やイベントを行ってきたため、こうした緊急事態下でも喜んで力を貸してくれるというわけだ。
「星援隊やJAXA、大学と交流を深めてきたおかげで、さまざまな情報がいち早く集まるし、アクションを起こす時の広がりも大きいんです」
最近でも、緊急事態宣言が発令されるや否やオンライン会議を導入したり、YouTubeでの発信をはじめたり。コロナ禍でもできることに次々とチャレンジしている。
「こうした時こそ、商店街があって良かったな、と地域やお店の方々に思ってもらえる取組みをしていきたいですね」
国土交通省が’20年6月5日に発表した路上利用の占用許可基準の緩和。沼津市や佐賀市などで社会実験が行われ、その後多くの自治体で実施されるように。20政令指定都市を対象とした8月11日の調査では、すべての自治体でこの措置を利用していることが分かった。11月までの期限付きであるものの、ここから新たな取組みや可能性が生まれそうだ。
商店街ニュース はやぶさ2カプセル帰還をみんなで祝おう!商店街でPV開催
★この記事は、商店街活性化の情報誌「EGAO」の2020 Autumn(秋号)に掲載されています。
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