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活性化事例

苦境を好転させた個店が力を合わせ“地域”を支える葬儀

地域資源

創業・事業承継

商店街名 あらい商工葬祭協同組合/静岡県湖西市

静岡県新居町の商業者が、「景気に左右されない事業は何か」を熟考し、平成9年に33店で立ち上げた新たなコミュニティビジネス「あらい商工葬祭協同組合」。地元の人や慣習を熟知しているからこそできる行き届いたサービスは高く評価され、そのビジネスモデルは全国から注目を集めている。

協同組合は、湖西市新居斎場「やすらぎ苑」近くに立地

“顔なじみ”だからこそ成功した、地域に寄りそう新事業

「この事業がなければ、地域の店はなくなっていたかも」

浜名湖のほとり湖西(こさい)市新居町(あらいちょう)で菓子店を営む疋田(ひきた)実男さんらが’97年に設立した「あらい商工葬祭協同組合」は、地域の個店が集まり葬儀を手掛ける。

祭壇に飾る青果籠盛をはじめ、料理や引菓子などは加盟店が担当

仏花や料理、会葬御礼などを組合の個店へ発注し、祭壇の準備や受付、交通整理、片付けまで店主が当番制で担当。この地で生きる者ならではの慣習を大切にした葬儀は評判となり、設立初年度に50%のシェアを獲得。3年で町内における葬儀のシェアは95%となった。現在は町外の方の葬儀を執り行うことも。複数の従業員も雇い、地域の雇用創出にも貢献している。

原動力となったのは、個店が抱えていた危機感。協同組合ができた当時、地域の売上も店舗数も衰退していたのだ。
有志たちは集い、勉強会を開催。たどり着いたのが、時代の流れに左右されない葬祭事業だった。もともと新居町では、隣近所で協力して葬儀を手伝う風習があり、食事や籠盛りの青果、引菓子などは地元で都合していた。

しかし、大手葬祭業者の進出により需要が減少。「これを元に戻すことが復活の鍵になるのではないか」。そう考えたのだ。ノウハウはなかったが、町内の寺院らに意見を聞くなどして葬祭事業をゼロから学んだ。スタート時の加盟店は酒販店、食料品店、菓子店、仕出し店、贈答品店など33店。「甘えが出てしまうから」と補助金などには頼らず、個店がそれぞれ20万円を出し出資金とした。祭壇や霊柩車、葬儀ホールなどは公共の施設を借用した。

3代目代表理事の髙内秀治さんは、衣料品店を経営。事業に参加した当初は、店主が葬祭を手伝うことに戸惑いを覚えたが、すぐに店の存続につながると実感したという
葬儀以外にも、法事や初盆などの伝統的な飾り付けや食事の提供にも対応する

「初期投資を抑えたことでうまくスタートできました。あと、顔なじみだからこそ、地域の方に安心していただけているのだと思います。組合員、従業員とも地域の人間なので。ご家族の本音を伺い、希望に沿った葬儀を行うように心がけています」

そう語るのは、3代目代表理事を務める髙内秀治さん。さらに、成功の要因は〝質の維持・向上〞にあるのではという。「料理を扱う個店が3軒あったら、3軒を平等に扱います。ただ、平等ということは、3軒が同じくらい高品質でなければいけない。だから常に切磋琢磨していて、これが個々のレベルアップに直結しています」

個店が手を取りつくり上げた葬祭事業が、互いを磨き合いながら市民の暮らしを支えている。

★この記事は、商店街活性化の情報誌「EGAO」の2019 Autumn(秋号)に掲載されています。
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