事業名 | 繁盛店づくり支援事業 |
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商店街名 | 富岡商店街協同組合/徳島県阿南市 |
月1回、全4回の講座では、講師が参加店舗をめぐり改善点を指摘・提案する公開臨店研修を実施。
阿南市の商業拠点として古くから地域住民の生活インフラを支えてきた富岡商店街。
しかし、近年バイパスの開通と大型商業施設の出店、後継者不足などの環境の変化を受け、商店街にはシャッターが目立つように。
そこで、阿南商工会議所は、’13年より店舗の魅力を伝えることで商店街の活性化を目指すまちゼミ事業に取り組んだ。
「数字だけでなく、店主の意欲減が課題でした」
と当時を振り返る、阿南まちゼミの会会長の岡澤孝浩さん。
8回の実施を重ねるなかで、顧客との相互理解や店舗同士の連携が深まった結果、店主の意欲も向上した。
こうしたまちゼミがもたらした意識面の成果を、具体的に個店の魅力向上につなげるべく、’17年にまちゼミ開催地域対象の「繁盛店づくり支援事業ジャンプアップコース」を受講。次いで、本格的な実践コースへとステップアップした。
実践コースには、ジャンプアップコースで特に意欲の高かった4店舗が参加。
月1回(全4回)の講座では、講師による公開臨店研修を通じ、自店の強みと弱みを分析、改善を図っている。
問題意識はあれど、どこから取り組めばいいのかわからなかった参加者たちだが、「お店の意図が伝わる商品展開」「SNS活用」といった具体的なものから、「お客さん目線の店づくり」などの意識面まで幅広く気付きを得てさっそく改善に取り組み、すでに来客数が増えた個店も生まれている。
また、特筆すべきは今回の参加者がすべて女性であること。女性同士、活発な意見が生まれ、全員が他店の臨店研修に同行することで、他店の課題を〝自分ごと〞として捉えている。
「互いに意見し刺激し合える関係性の構築が、商店街全体の問題意識の共有にもつながっています」と、阿南商工会議所の野村千寿子さん。
かつてまちゼミが育んだ商売への意欲は、繁盛店づくりを通して目に見える店舗改善につながり、そんな参加店舗の姿はほかの店主の意識も変えつつある。
「お客様のための店舗づくりができるようになってきました。〝個〞の魅力で人を呼べるようになれば」
と、本事業の講師を務める志賀公治さん。
そして個の力が成長した時にこそ、同商店街ならではの横のつながりが生きてくる。
いま、富岡商店街は、新たな好循環に入ったようだ。
’17年の「繁盛店づくり支援事業ジャンプアップコース」を経て、’18年から同実践コースに取組んでいる富岡商店街。
月1回、全4回の講座では、講師が参加店舗をめぐり改善点を指摘・提案する公開臨店研修を実施。店主たちは早々に対応し、魅力向上の取り組みが進んでいる。
今回の参加店舗は全4店で、参加者全員が女性。
取材に訪れた第3回目ではそれぞれが改善を進めており、例えば「お好みはうす樹樹」では新メニュー開発が行われたことは本誌でも紹介した。
もちろん、それ以外の店舗でも続々と成果が挙がっている。
◯松屋呉服店
呉服、制服、洋服を販売する松屋呉服店では、お客様目線で着物・和装小物などジャンルごとにまとめたディスプレイを行い、ゾーニングを明確化。
また、店に面する一方通行道路を意識し、進行方向側からよく商品が見えるように置き場所を工夫することで、実際に手にとってもらえることが増えている。
◯パール美容室
美容商品も多く販売するパール美容室。
40歳以上のターゲットに向けた効果的な訴求を模索していたが、今回の臨店研修を経て、コメントカードやミニボードで商品をわかりやすく説明。POPを有効活用し、訴求効果を高めている。今後は、居心地の良い空間づくりを目指している。
◯ゆるり
集客力を高めたいという、リフレクソロジーのゆるり。
入りづらさに課題があると指摘を受け、のぼり旗や看板を配置することで、どんな店かが一見してわかるように。今後は施術メニューや価格を明確にし、発信面でもチラシやSNSを有効活用することで認知度を高めていく。
【DATA】富岡商店街協同組合/徳島県阿南市
★この商店街は、商店街支援センターの「繁盛店づくり支援事業」を活用しています。
★この記事は、商店街活性化の情報誌「EGAO」の2018Spring(春号)に掲載されています。
「EGAO」をご覧になりたい方はこちらへ。