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活性化事例

現地視察で DXへ一歩前進

商人塾

人材育成・組織力強化

IT

事業名 商人塾支援事業
商店街名 春日井市商店街連合会/愛知県春日井市

愛知県春日井市は、名古屋のベッドタウンで人口30万超の都市。しかし、買い物客の名古屋への流出が止まず、さらにはコロナ禍で帰宅途中の立ち寄り客も激減してしまう。14の商店街からなる春日井市商店街連合会は、地元経済の活性化を目的に、地域電子マネーの導入について「商人塾」で検討を重ねた。

商人塾の第2回目の研修で、独自開発の地域電子マネー「Okaya Pay」を活用しキャッシュレス化を実現している長野県岡谷市を視察した春日井市商店街連合会のメンバー。実践者である「靴のクサマ」店主・草間さんの話を傾聴した

地域電子マネー先進地の視察で導入までのイメージを具体化

地域電子マネーの導入をめざして

 ’22年11月18日、長野県岡谷市で、春日井市商店街連合会(以下、春日井商連)による現地視察が行われた。これは、春日井商連開催の商人塾の2回目の研修で、岡谷商工会議所が開発と運営に携わる地域電子マネー「Okaya Pay」の実態を探るためのものだ。春日井市の商店街の理事長、理事ら9名の塾生らが、現地を訪れた。

 当日の朝は、取扱店のひとつ「靴のクサマ」へ。Okaya Pay対応のタブレット端末を前に店主の草間昌幸さんが使用方法や顧客の反応、導入によるメリットなどについて話す。質疑応答では、使い勝手、設備費用、地域クーポンとの連携などの質問が次々に繰り出された。

 午後は岡谷商工会議所に場所を移し、担当の清水千大さんによる講義。Okaya Payの特徴や導入の経緯、利用状況や運営体制、取扱店の状況、行政との連携などについて学んだ。  

 実は春日井商連が地域電子マネーに着目し、動き始めたのは’19年のこと。しかし、セキュリティの問題や初期コスト、ランニングコストの設定など、具体的な内容が決まらず、事態は膠着状況に陥った。それが、今回の商人塾の実施で、前進の兆しが見えてきたという。

           DXに向けた学びのカリキュラム

「岡谷の事例は、行政との連携を含めた運用の仕方など、大いに参考になりました。また、実現に向けての思いを共有することの大切さも再認識しました。こうして実際に運用している人の話を聞けるのは貴重な経 験。皆で一緒に見て聞いて考え、導入に向けての一体感を育んでいけたら」と春日井商連の会長・稲田孝史さんは語る。

春日井市商店街連合会 会長 稲田孝史さん 「地域電子マネーへの導入について本気で話し合うことができました」

 同月28日には第3回研修を実施。愛媛県松山市の地域電子マネー「まちペイ」を開発・運用する「まちづくり松山」の代表取締役社長・加戸慎太郎さんを春日井市に招聘し、講義が行われた。前述のOkaya Payが運用のハードルを下げるために利用者のデータを収集しないシステムを採用し域内経済の循環促進のみに的を絞っているのに対し、まちペイでは利用者のデータを収集・分析し、それをまちづくりの取組みにも活用している。要は、地域の実情に即したシステム構築が必要なのだ。

 それでは、春日井商連の場合はどうするのか。それを話し合うために、12月14 日に第4回研修が実施された。準備された5つの議題について、これまでの研修を踏まえて丁寧に議論が進む。

 たとえば、『会員個人情報取得をどうするか』という議題に対し、 「岡谷は顧客のデータを取らないことで認可される時間を短縮した」「しかしそれでは顧客の傾向までつかめない。 春日井ではデータ収集すべき」「だがそうなると専門の分析チームが必要なのでは?」「顧客一人ひとりの情報は本当に必要か」とさまざまな意見が飛び交った後、最終的に「円滑な導入のために、個人情報は導入後に順次入手していくのはどうか」との意見に集約された。 
 議論を積み重ね、塾生たちは確実に歩みを進めている。


左)第2回研修の集合写真。塾生は9人。そこに会長の稲田さんら、事務局が加わった。この商人塾の実施には、商人塾支援事業が活用されている。中)岡谷商工会議所で実施された講義。右)実際に使用している機器を使って、利用方法などを学ぶ。昼食時にはOkaya Payを使って支払いを実体験

関連リンク

この支援事業について詳しくは  商人塾支援事業

★この記事は、商店街活性化の情報誌「EGAO」の2023 Spring(春号)に掲載されています。
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