事業名 | トータルプラン作成支援事業 |
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商店街名 | 大仙市商工会/秋田県大仙市 |
秋田県のほぼ中央に位置し、県内有数の穀倉地帯を有する大仙市。超広域に事業者が散らばる地域ゆえ、大仙市商工会は「中心エリアがない」という悩みを抱えていた。しかし、あるひとつのアイデアから発想を転換。未来へつなぐ「新しい商店街のあり方」を模索するため、トータルプラン作成支援事業を活用することにした。
“商工会=商店街”の発想からスタート
秋田県大仙市は、’05年に1市7町が合併し誕生。大仙市商工会は、この合併に伴い、旧7町地域を担っていた5つの商工会を再編し設立された。
小売・サービス業など500超の事業者を有するが、東西約44㎞、南北約40㎞におよぶ広域に散らばっているため、「まちの中心」がない。少子高齢化が急速に進むなか、近隣の大型店舗やネットショップにも押され、この地域の商業は厳しい状況に置かれている。「商工会として何かしなければと思いながらも、どこを拠点に、どんな活動をしたらいいかわからなかった」と話すのは、商業部会の部会長・高橋正己さん。そんな時、「商工会全体を商店街と捉えてみてはどうか」というアイデアが浮上、そういう考え方もできるのかとハッとしたという。
「事業者が散らばるこの地域でどんな連携ができるのか、みんなで考えてみたい」
その思いに、他のメンバーも賛同。こうしてトータルプラン作成支援事業を活用し、地域の未来をつくる「新しい商店街のあり方」を考えることになった。
’22年6月1日、商業部会メンバー、若手や女性事業者など9名が参加し「キックオフコース」を開催。まずは現状を整理するため、地域の強みや商環境の変化について意見が交わされた。
「初めて顔を合わせる人もいるなか、活発に意見が飛び交い驚いた。若手の中には、店舗を持たず、インターネットで商売をしている人もいる。自分にはない視点やアイデアにふれ、とても刺激になった」とは、副部会長の佐渡敏夫さんと齊藤孝快さん。模造紙に、意見やアイデアを書き込んだ付箋が次々貼られていく様子に、商業部会メンバーは「これならいける」と確信。その場で「実践コース」への継続を決定したという。
取材した7月22日は、実践コースの第1回。キックオフコースで出た意見を講師の淵上環さんが整理し、それをベースに「めざしたい大仙市の商店街の姿」について話し合った。
「商工会の情報をウェブに集約し、『バーチャル商店街』をつくる」「商工会の各支所の駐車場を使って、月替わりで移動商店街を開催してみるのは」など、世代や業種・業態も多様な参加者の、それぞれの視点に立った意見が次々と飛び出す。取材する側も思わず引き込まれるような、意見やアイデアがあふれ出す熱意と勢いを感じるディスカッションが繰り広げられた。
「合併して10年以上経ち、やっとこうして地域のことをみんなで話し合えるようになった。若い人たちも頼もしく、今がチャレンジするいいタイミングだと思う。今日出たたくさんのアイデアも、優先順位を決めてぜひ実行したい」と目標を話す高橋さん。若手も「僕たちの意見にも積極的に耳を傾けてくれるムードがあり、有意義な時間だった。この話し合いを継続したい」と充実した表情を見せた。
「実践コースになり、するべきことがより具体的になった。まだ参加していない会員にも仲間になってもらえるよう、目に見える成果をつくりたい」と、商工会の事務局担当・岩沢正利さん。次回は市役所も参加し、商工会と行政の連携も含めた具体的な検討が進められる予定だ。 店同士の物理的な距離は遠くても、世代や業種が違っていても、志を同じくすれば地域をひとつにまとめることができる。今回出されたアイデアを上手く整理できれば、広域ならではのユニークで新しい取組みが実施可能かもしれない。「まずは年末の売り出し時期に合わせて、なにかかたちにできたら」と、メンバーは意気込む。
この支援事業について詳しくは トータルプラン作成支援事業
★この記事は、商店街活性化の情報誌「EGAO」の2022 Autumn(秋号)に掲載されています。
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