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“一店一エコ運動”に注目

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商店街名 モトスミ・ブレーメン通り商店街振興組合/神奈川県川崎市

ドイツ・ブレーメン市のロイドパサージュ商店街と姉妹商店街の関係にある、東急元住吉駅前のモトスミ・ブレーメン通り商店街。環境先進国のドイツの思想を導入し、各店の特性に合った環境活動を続ける。SDGsに先駆けた先進的な取組みが注目される、商店街の軌跡に迫る。

一店一エコ運動は、地球温暖化防止活動環境大臣賞(’06年)、低炭素杯2017LIXIL賞(’17年)他、を受賞している

57店舗が参加する“一店一エコ運動”とは?
伊藤博さん(右)と、グリーンコンシューマーグループかわさき・徳野千鶴子さん(左)

「私はこれまでドイツに10回以上視察に行って、現地の環境活動の実態を学んできました。視察で得た知見をもとに、当商店街では’95年にマイバック持参運動を開始。実際にブレーメンで使われていたエコバックを輸入し、幼稚園や商店街で無料配布しました」と話すのは、モトスミ・ブレーメン通り商店街振興組合理事長の伊藤博さん。

商店街のエコ活動を調査・エコ調査隊!
エコ調査隊の子どもたちの質問に真剣に答える店主。自店の取組みを丁寧に説明することで、子どもたちといっしょに環境活動への意識を高めていく

 ドイツに学び、環境活動に早くから取り組んできた同商店街の象徴が、一店一エコ運動だ。各店舗が節電やリサイクルなど、何かひとつ環境に良い取組みをしようというもの。市内で地球温暖化防止活動を行う「グリーンコンシューマーグループかわさき」との協働で20年以上継続されている。毎年夏には、地元の小学生によって結成された「エコ調査隊」が各店舗を訪れて1年間の取組みを聞き取り調査。活動の成果が上がっている店舗には〝エコちゃんず大賞〞のシールを贈呈するなど、地域の子どもたちの環境保護意識を育む活動としても注目されている。

 当初、環境活動にはハードルが高いイメージがあったようだが、率先して取り組めば経費削減のメリットも大きく、店主たちの意識も徐々に変化していったという。「何より最近は、お客様のエコへの意識や理解が進んだことも効果を大きくしています」と伊藤さん。長年取り組んできた手ごたえを感じているそうだ。

各店の“一店一エコ運動”の取組み

【 青果のばら売り・ 少量売り 】
高林果実店/髙林富雄さん  
青果のばら売りや少量売りを実施することで、食品ロスを軽減。
福島県会津坂下町の新鮮な野菜を販売し、東日本大震災の被災地も支援している。

【 貴金属のリフォーム 】
時計・メガネ・宝飾 ヤマグチ/山口枝里さん
祖父母や両親から譲り受けた宝石やジュエリーを現代的なデザインにつくり変え、
思い出と一緒に次代へ継承できるサービス。時計のリチウム電池の回収も実施。

【 酒・焼酎の量り売り 】
宇野商店/宇野慎也さん
酒蔵と縁の深い宇野商店ならではの、酒や焼酎の量り売りは食品ロスを減らす試み。
飲み終えたビンを持参すれば、720mlは30円、1.8ℓは50円を値引きする。

【 照明のLED化 】
ゆうき亭/石渡茂紀さん
一店一エコ運動を機に、店内の照明電球を省電力のLEDに交換。
食品ロスの削減のためにライスのサイズを大、普通、小の3つに変更し、ゴミの分別も徹底。

【 発泡スチロールと電池の回収 】
川崎家電/田村恵子さん
家電製品の緩衝材として使われる発泡スチロールを90ℓの袋に集めて、業者に回収してもらう。
家庭では処理に困るボタン電池の回収箱を店内に設置。

【 ハンガーの回収 】
ホームドライ/鈴木富美子さん
同店の不要なハンガーを5本1組で持参すれば、10円分のサービス券を配布し、
次回以降の割引券として使用可能。プラスチックごみの削減につなげる取組み。

⇩その他の取組み一例
・節水・簡易包装・てんぷら油の回収・段ボールや紙のリサイクル・配達時のアイドリングストップ・買い物袋持参でポイントを付与

「地域に役立ちたい」がSDGsにつながる活動へ
右上から時計回り)フードドライブでは箱からあふれるほど多くの食材が集まった。 ・ボーンワークショップ出店。 アンケート回答者にプレゼントも。石けんなどに再利用するための使用済みてんぷら油の回収 。「SDGsブレーメン○×クイズ大会」を開催

 ’21年12月12日、商店街を挙げて「2021ウィンターキャンペーン」が行われた。若手有志の生バンドが盛り上げる〝SDGsブレーメン○╳クイズ大会〞や、使用済みてんぷら油の回収、不要な端材でクリエイターが作品を創作する〝リ・ボーンワークショップ〞など、SDGsに直結し、かつ普及につながるイベントが開催された。

 家庭で余分になった食料を回収し、子ども食堂に役立てる〝フードドライブ〞も注目に値する取組みだ。食品ロスを減らせるだけでなく、地域のネットワークを通じて集めた品物を地域のために使うサイクルこそが、SDGsの基本理念である。

 しかし、これらはあくまでも、同商店街が長年取り組んできた多様な活動の延長であると、伊藤さんは強調する。「他にも、平塚市の知的障がい者施設・進和学園が製作したグッズの販売や、高齢者の健康増進を意識してコミュニティセンターを訪れるとポイントが付く〝ブレカ〞を導入しました。いずれも、SDGsにつながる事業ですね」

1)進和学園が製作したブレーメンの音楽隊をあしらった食器。2)ドイツ・ブレーメン直輸入のエコバック。3)ブレカは全国の商店街に先駆けて導入されたポイントカード

 一連の事業は、伊藤さんら商店街事務局のリーダーシップと、店主たちの理解があって実現できた取組みである。今後は高齢化社会に向けた認知症対策や、デジタル化の推進が目標。いっそう地域に根差し、愛される商店街にしていきたいという。

 SDGsは特別なことではなく、私たちの生活の中に身近にあるものなのだ。

★この記事は、商店街活性化の情報誌「EGAO」の2022 Spring(春号)に掲載されています。
「EGAO」をご覧になりたい方はこちらへ。

商店街活性化の情報誌「EGAO」

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