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活性化事例

空き店舗への本格出店がつなぐ“新しい商店街”への未来

空き店舗総合支援

空店舗活用

創業・事業承継

事業名 空き店舗総合支援パッケージ事業
商店街名 神明通り商店街振興組合/福島県会津若松市

自分たちの手で新しい商店街をつくっていく。その熱き心意気を組合メンバーで共有し、空き店舗対策に乗り出した神明通り商店街。’21年11月、事業を活用し「お試し出店」から「本格出店」を実現させた。

<<この事業の魅力!>>
商店街が抱える空き店舗の課題解決のため専門家を派遣。空き店舗の活用法についての研修、貸店舗ツアー、お試し出店などの取組みで解決に導く。

右)「憧れの神明通り商店街にお店をもてました」と話す「エンジェルストーン」の宇野さんご夫妻
左)’21年10月、「會津商人館」2階に「美肌工房マルヤマ」を開業した女性オーナ ーのおふたり

新しい商店街をめざし思い切った改革を開始
会津若松市の中心部を南北に走る神明通りに沿うアーケード。その下にアパレル系ショップを中心に宝飾品店や飲食店など約60店舗が軒を並べる

 福島県内でも有数の繁華街であり、会津若松市内で商いを始める人にとって〝憧れの場所〞とされてきた神明通り商店街。一方で店主の高齢化や大型商業施設進出の影響などから最盛期に約120あった店舗数は半減。アーケード下に空き店舗が目立ち始めているが、市内で最も高い賃料と組合加盟金(50万円)がネックとなり、出店したいというニーズはあるものの新規出店になかなかつながらないという課題を抱えてきた。

 神明通り商店街振興組合の理事長・堂平義忠さんは語る。「『商店街は元気がない』とよく耳にしますが、私たちがめざしているのは過去ににぎわいのあった最盛期の商店街を取り戻すことではなく、時代に合った〝新しい商店街をつくること〞。そのビジョンを実現するためには思いきった改革が必要と考えました。」

「これからの新しい時代の商店街をみんなでめざしたい」と語る理事長・堂平義忠さん(右)と専務理事・葦田典史さん

 話し合いの結果、この「空き店舗総合支援パッケージ事業」への取組みを機に組合加盟金の撤廃に踏み切ることに。それと同時に、地権者にも交渉し、賃料の大幅な値下げが実現したうえで、貸店舗&商店街ツアーを企画、〝神明通り商店街に出店できるチャンス〞を広くアピールした。
 このように組合が一丸となり金銭面のハードルを下げ、本気で出店者を迎えようという機運を高めたことが功を奏し、今回3組の本格出店が決定。商店街には現在も物件に対する問い合わせが相次いでいるという。

お試し出店から本格出店まで組合が全力でサポート
上)’21年7月と11月に行われた「貸店舗&商店街ツアー」の様子。下)貸店舗ツアーの募集チラシにはお試し出店の店舗を積極的に紹介し誘客へ繋げた。
HPやSNSでも「出店募集」の情報を継続して発信

 ’21年9月から約1カ月間のお試し出店を経て11月に本格出店したのは「天然石&天使雑貨エンジェルストーン」。店主の宇野さん夫妻は、「お試し出店は時間がない中でしたが、ディスプレイ棚、ガスコンロなど必要な備品はすぐに貸し出してもらい無事開店できました。近くの店主の方がお客さんを紹介してくれたり、何かと気にかけてくれて。本格出店を決めた際は、家賃補助の活用や信用組合からの運転資金などの借り入れなども組合が間に立ってアドバイスやサポートをしてくれたおかげでスムーズに運ぶことができました」と、当時の様子を笑顔で話す。

 同じく10月末のお試し出店から本格出店したエステ店「美肌工房マルヤマ」店主の上野さんと高橋さんも、「最初に『何でも相談してくれ』と言ってもらって心強かったですね。2階の店舗への備品搬入も快く手伝っていただきました。何よりオープンに合わせて開店告知のチラシをたくさん作成・配布してもらったおかげで新規のお客様にも来ていただき、ここでやっていく自信になりました」と振り返る。

 こうして本格出店をきめ細やかにサポートした組合はさらに新しい商売の芽にも心を配る。コロナ禍で中止された子どもたちのステージ発表会を中心に飲食や物販店が参加する「かたるべマルシェ」や「酔市」のイベントを事業と連携させ「1日限定お試し出店」を開催したのだ。

「コロナで落ち込んだ個店を元気にする目的のほか、出店ブースからトレンドを捉えて商店街の魅力アップにつながるヒントを得ること、商売として一本立ちできそうな出店者をスカウトし、新規出店を促す目的がありました」と専務理事の葦田典史さんは説明する。

 今回の事業に取り組んだことにより、新たな課題と目標も見えてきた。「出店希望者を増やすことはできましたが、物件が追いつかない状況です。空き店舗の貸店舗化を推進し、新しい風を取り入れていきたい。また、2階の空き店舗にも人が集まれるようなオフィス化計画なども進めたいと考えています」と堂平さん。

 新しい商店街をつくる。その熱き想いを組合メンバーで共有しながら、独自の発想力と実行力で街全体を元気づけていく。

エステ店、占い店が2階に本格出店した会津商人館 

次年度の目標が語られた成果報告会

’22年1月の成果報告会は、市職員も参加し反省点も含めディスカッション。次年度に向け、貸物件のストック化、2階空き店舗の活用としてオフィス化計画を推し進めることなどの目標も挙げられた。「神明通りでは、お試し出店の宣伝チラシが大きな効果を上げました。事業スキームを自分たちの商店街流にアレンジし、各地で水平展開できれば成果はさらに大きくなります」(専門家・東朋治さん)

関連リンク

この支援事業について詳しくは  空き店舗総合支援パッケージ事業

★この記事は、商店街活性化の情報誌「EGAO」の2022 Spring(春号)に掲載されています。
「EGAO」をご覧になりたい方はこちらへ。

商店街活性化の情報誌「EGAO」

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